ウエルシアとツルハの統合でリテールメディアは一気にメジャーになるか?
ドラッグストア業界がざわつき始めています。ドラッグストア業界はリテールメディアに参入しているところも多く、これを機会に一気にリテールメディアがメジャーになる可能性も!?
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
2024 年 1 月にRMOのXでもお伝えしたイオンがツルハ株の取得に動いているという話が、本格化したようですね。
日本経済新聞が下記のように伝えています。
ドラッグストア首位のウエルシアホールディングス(HD)と2位のツルハホールディングスは経営統合する検討に入った。ウエルシア親会社のイオンがツルハHD株を1割強保有する投資ファンドと同社株の取得で最終調整している。取得後にイオン主導で両社の統合を進める。実現すれば売上高で2兆円規模とドラッグストア市場の4分の1を占める巨大チェーンとなる。
ドラッグストア(Drugstore/Pharmacy)は日本ではコンビニエンスストアや大規模スーパーとならぶ、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)いわゆる消費財のメッカです。多くの消費者がこれらで消費財を購入するケースが多く、そのように業界に設計、誘導されているともいえます。これが専業の小売店や小規模スーパーなどが消滅していった背景のひとつでもあるのですが、その議論はさておきドラッグストアにはそこに集まる消費社に対して、広告を出したい消費財メーカー、広告代理店が集まっています。今回の業界第一位、第二位の統合がどのようなインパクトをもたらすのか考えて見たいと思います。
📣この記事でわかること
日本のドラッグストアのランキング
それぞれのRMN
日本版リテールメディアはドラッグストアが牽引していく
懸念な部分
それでは本編スタートです。
日本のドラッグストア業界の現状
日本のドラッグストアの店舗数は18,562店舗となっています、店舗数は年々増えており、さらに扱う商品販売額も順調に伸びています。約全国に 2 万店舗、年間約 8 兆円の規模感だと認識しておきましょう。
そして、ドラッグストアのランキングがこちらです。
今回、業界第一位のウエルシアホールディングスと第二位のツルハホールディングスが、株主のイオン主導で統合されるという報道です。これが実現すると店舗数では5,352となり、全体の約 30% (28.83%) を占め、売上高も 2 兆 1,140 億円 (全体の27%) を占めるの一大勢力となります。
それぞれのRMN
TOPのウエルシアホールディングスは先日Criteo社のリテールメディアプラットフォームを導入したというリリースがありました。こちらの記事もご参照ください。
リリースからは、注目すべきは自社のECへの集客とマネタイズを念頭にしており、欧米流のオンサイトオフサイト両方でのリテールメディアを目指していると受け取れます。
そして第二位のツルハホールディングスは「ツルハグループAds」をアドインテ社とのパートナーシップで構築しています。
こちらもグループ全体で年間1200万人が買い物をするID-POS(販売時点情報管理)データと同規模のポイント会員が、ポイントカード機能を備えたアプリ「ツルハドラッグアプリ」(250万人以上が利用)という基盤を活用したオンサイト、オフサイトへの配信をメインとしているように受け取れます。
第三位のマツキヨココカラ&カンパニーもGoogle社と「Matsukiyo Ads」を展開しており、ドラッグストアの上位プレイヤーは既にRMNを持ち、リテールメディアを加速させていることがわかります。
日本版リテールメディアはドラッグストアが牽引していく、、、のかも
こう思うを理由はいくつか。
まず、冒頭で触れたようにドラッグストアはコンビニエンスストアと同様に 1 番消費財メーカーが集まりやすいところであること
従来、個々のドラッグストアだけではオウンドメディアの規模が不足していたところが、統合が進みドラッグストア業界の 30% を占めるプレイヤーが現れ、設計次第では広告在庫も増え、オウンドメディアのマネタイズがスケールしそうなところ
統合により利用できる購買データが増え、オンサイトはもとより従来から日本版のリテールメディアの本流とも言えるオフサイトへの配信を強化できるところ
Criteo社のようなリテールメディアプラットフォームを導入し、クローズドループ測定を提供できるところ
日本独特のアプリをタッチポイントとしたクーポンやポイントの付与、プッシュ通知などを行なえること
なによりドラッグストア業界でリテールメディアが成功すれば、横展開をしてコマースメディアとして各業界で同様にメディアネットワークを構築できる機会になります。
懸念な部分
この統合は日本の小売業最大手のイオンが主導しています。イオングループはいわずとしれた、イオンタウンに始まり、PEACOCK,ダイエー、マックスバリュ、オーパ、まいばすけっと、と複数の業態、ブランドを既に持ち、この度のウエルシア+ツルハと消費者の最も近いところを既に多面的に抑えており、日本版Walmartに 1番近いポテンシャルがあります。
ネットスーパーもGrean Beans, おうちでイオン「イオンネットスーパー」など複数あり、SPL(スポンサードプロダクトリスティング)も導入しています。
これにより他小売業がどのように動いていくのかが懸念です。米国同様にWalmartに続け追い越せとなるのか、一強の世界になるのか。どちらも考えられます。
〆まとめ
いかがでしたか?
日本版のリテールメディアはどうやらドラッグストアが、まず成功モデルを作っていきそうな予感がしますね。アセット、パートナー、投資できる財力が整っています。組織と推進していくためのデシジョンメーカーが見えませんが、すでに統合も進めていいますしダイナミックな判断を既にしているのでココも問題ないのかもしれません。懸念に書きましたが結局イオングループという小売の巨人がドラッグストアをも含めたリテールメディアを最終的に作るのだと思うので、Walmartの模倣をしながら日本独自の商習慣などをスパイスに成長していくことが期待されます。
CTVとかTVデバイスをOEMで開発、販売してしまうことももちろん可能でしょう。これはこれでエキサイティングですね!
🖊編集後記
実は、ちょっと前にひどくショックな出来事があったのですが、人間の忘却力って凄いです。それを思い出すたびにいろいろな思いに駆られ、寝れない日も度々あったのですが、日が経つごとにその回数は減り、痛みも少なくなりました。過去のことは戻らないし、無くなったものも還らない。引き続き、出来事を思い出したりすることはあると思うのですが、なんかこのまま行けそうです。自分が鈍感なのか、ルーズなのか、それとも自己防衛本能的なものなのかわかりませんが、ただひとつ思えるのは、止まっていても仕方ない、とは思います。
それではまた次回。
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