リテールメディアネットワーク(RMN)のはじめかた
欧米ではAmazon, Walmart, Instacartなどのトップのリテールメディアだけでなく、業種を超えて多数の小売事業者のリテールメディアビジネスへの参入が始まって久しいです。今回はリテールメディアネットワーク (RMN) をはじめるためかたについて、まとめてみたいと思います。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
リテールメディアネットワーク(RMN)は、Amazon Advertising, Walmart Connect, Roundelなど一部のトップRMNがフォーカスされていますが、米国で10年以上前にリテールメディアが始まって以降、業種を超えて多数の小売事業者がRMNをスタートさせ、いまでは世界中に150以上存在しています。そんな勢いのあるRMNですが、今回はあらためてRMNをはじめるには何が必要で、どうしたら始められるのかをまとめてみます。
📣この記事でわかること
RMNとは
RMNの検討
RMNに必要なアセットとは
RMNを始めるための視点
それでは本編スタートです。
RMNとは
以前の記事でも触れていますので詳細はこちらの記事を参照していただくとして端的にお伝えすると、
RMNとは、小売業者が所有および/または運営する広告プラットフォームです。
日本でもバズワード化している「リテールメディア」との違いは、
従来のビジネスドメインである小売ビジネス + 新しい収益モデル(広告ビジネス) = リテールメディア
という概念に対して、RMNはリテールメディアの基盤を担う、広告の配信プラットフォームを指します。
RMNが広告配信するデバイスでいうと、Webブラウザ、アプリ、CTV、サイネージ、オーディオなど多岐にわたります。
配信チャネルの視点では小売業者のオウンドメディア、
もう少し広義では、オフサイトも含めることになるので、オウンドメディア以外の第三者の広告在庫面(オープンインターネットのWebメディアやソーシャルメディア、DOOHなど)も含まれます。
RMNの検討
RMNを検討する前段階で、その小売業者のリテールメディア化の目的、ゴール、戦略などがあり、その重要な手段のひとつとしてRMNが存在するはずです。
主な小売業のRMNを始める動機は、中核事業である物販やサービスの販売事業のプレッシャーを相殺する為の手段であることが多いです。簡単にいうと、低マージンの小売事業を高マージンの広告事業と融合することでそのプレッシャーを相殺するという意味あいです。流行ってるから、ウチにもできそうだなど、ただ単に小売業の収益をカバーするために広告事業を始めるというのはビジネスをスタートさせるには単純かつ安易すぎることは誰の目にも明らかですし、自社がRMNを始める為のアセットがあるのかどうか、また広告ビジネスがもともと中核事業ではない小売事業者が広告ビジネスを始めるにはいくつもの超えなければならないハードルがあるため、RMNのスタートには慎重になる必要があります。
RMNに必要なアセットとは
オウンドメディア
第一義的には、小売業者の自社のプロパティ(資産というかコンテンツ)です。EC、Webサイトやアプリ、実店舗内のサイネージ等が該当します。こちらに広告を配信することがベースとなります。
購買データに基づいたターゲティング能力
小売業者が持つ購買データがリテールメディアのキモです。これがないとリテールメディアとは言えません。注意が必要なのはPOSデータやユーザーのメールアドレス、購買データが広告用のソリューションに使えるデータである必要があることです。これは当然プライバシーの観点から、ユーザーの許諾等も必要です。
そのうえで、広告主にとって価値があり、彼らのビジネス目標を達成する為の有用なセグメントされたターゲットグループになっている必要があります。配信プラットフォーム
オウンドメディアに広告枠を設置し、購買データと紐づけ、広告を配信するためのプラットフォーム(アドサーバー、SSPなどのインフラ)。
広告主(代理店)が広告枠を買い付ける為のプラットフォーム(DSPやアドネットワーク)
これらをひとつのプラットフォームで提供しているところもあります。測定ツール
広告を配信したあと、レポーティングが必要になります。そのためには測定がキーです。RMN独特のクローズドループ測定を実装し、広告主がそのRMNに投資した金額に対して、iROAS(incremental ROAS)やROASを把握し、レポーティングする能力が必要です。
広告を販売する為の営業、運用チーム
広告枠を設置するだけで売上が上がるというわけではもちろんありません(厳密にはアドネットワークを設置すれば少なからず収益はあがりますが、ビジネスにインパクトのある収益は見込めません)。
ビジネスインパクトを出せなければ、RMNを立ち上げる意味はありません。これが前述した、RMNを実施する意味、目的、動機を確認しておかなく必要があることに繋がります。
小売業者がRMNを始める第一義的なモチベーションはやはり広告ビジネスの高収益モデルを自身のビジネスに取り込むことです。このためには広告を積極的に販売する必要があり、これを販売するためのセールスそして、現代のデジタル広告は運用要素があるので、運用するチームが必要となります。
RMNを始めるための視点
規模とスケール: 大規模なRMNは、大手消費財(CPG)メーカーのメディアプランに含まれます。例としてはAmazon、Walmart、Tesco、Coles、Warehouse Group、Carrefourなどがあります。
新しいRMNは、競争力を持つために規模を目指すべきです。フォーカス: 魅力的な特定のオーディエンスを持つRMNは、広告主にとって非常に価値があります。例えば、ヘルス&ビューティーの小売業者は、高マージン商品に興味を持つ、価値のある消費者を持っていることがあります。また、ニッチなオーディエンスを特定もつ小規模小売業者にとっても非常に大きな武器になります。
差別化: RMNにとって最終的な差別化は一般的なものでないということかもしれません。言い換えれば異なること、独特であることです。これはRMNが持つファーストパーティデータの差別化のみならず、プラットフォーム、広告メニュー、運用能力、技術、そして広告チームなどに及びます。
自身のRetail Media Flywheel (RMF)を作成する: RMFは聞き馴染みがないかもしれませんが、イノベーション、広告主とのビジネスリレーションシップ、広告運用の統合、広告製品の開発に焦点を当てており、これらが合わさって Flywheel 効果が発揮されます。
その結果としてRMN内のイニシアチブが互いに構築され成長し、RMNの目標が達成されていきます。
RMFの主要な側面には以下が含まれます:イノベーション: テスト、学習、長期的なパートナーシップを形成する機会。
ビジネス開発: 共同ビジネスプランニングとパートナーシップマーケティングを通じてサプライヤーの目標を満たすための密接な作業関係の開発。
組織&運用: Retail Mediaチームをビジネス運用に統合してスケーリングを可能にする。
広告製品: ファネル全体にわたる魅力的なインベントリパッケージを、高性能でスケーラブルな広告製品と一致させること。
技術&データ: 信頼関係を築くための計画とオンラインおよびオフサイトの両方でターゲティングにスケーラブルな技術とファーストパーティデータを使用すること。
〆まとめ
いかがでしたか?
特に最後のFlywheelはリテールメディアだけではなく米国では耳にするビジネスを成長させるための螺旋というか、PDCA的にこのWheelを回していくことでRMNが成長していく為の概念です。
RMNはリテールメディアという概念の中の、広告配信プラットフォームです。広告配信をするための基盤ですので、自社で構築するのか、アウトソースするのか、パートナーシップを組むのか、複数の選択肢の中で選ぶ必要がありますが、その前に重要なことが自社のRMNの強みをどう捉え、広告商品化するかです。ツールやプロダクト以前にその部分をまずハッキリさせましょう。
🖊編集後記
ゴルフネタですが、先日の松山選手の優勝もそうですし、星野陸也選手の久常涼選手に続く欧州ツアー優勝と海外で活躍する選手が多く、女子プロゴルファーも男子選手以上に挑戦している選手が多く、非常に楽しみです。挑戦するだけでなく結果を出しているのでなおさらです。国内でも国内ツアーがそろそろ始まり、それに向けてキャンプに励んでいるSNSをみたりして、なんか元気をもらったりします。スポーツはどんなスポーツでもトレーニングに励む姿、挑戦する姿、もちろんその経過や結果に一喜一憂する私。そんな影響を与えてくれるスポーツは素敵ですねー。
それではまた次回。
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