SaaS アドテクベンダーとして、日本の小売業界にどのように貢献できるのか?〜デマンド編〜
米国のリテールメディアと日本のリテールメディア文脈は共通するところもありますが、大きく乖離している部分もあり、ギャップをどう埋めるかというよりは活かせるところを活かす方向性で考えるべきだと思っています。自分の今考える方向性を具体的に考えてみます。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
前回、日本のリテールメディアマーケットに私達米国のベンダーがどう振る舞えばいいのかを考えるために自分の立ち位置(サプライサイド/小売業者視点)を明確にしましたが文字数が多くなってしまったので、今回はデマンドサイド/バイヤー視点から考えていきます。
それでは本編スタートです。
現在のアドテクのトレンド
「最近はアドテクを通じてデマンドとサプライが非常に近くなっている」
これはどういうことかというと、アドテクノロジーを通じて、広告主/代理店とメディア運営者が非常に近い距離で取引ができるようになっているということです。
リテールメディアで言い換えれば、アドテクノロジーを通じて、ブランド/代理店とEC小売業者が非常に近い距離で取引ができるようになっているということです。
小売業だけではないのですが、従来の取引形態(オンライン、オフライン問わず)ミドルマンである中間事業者が非常に多く、特にアドテク領域はこのミドルマンの数が多く、それだけ利益が抜かれることになるのでアドテク税と揶揄されることも多かったのですが、ここ最近ミドルマン(が悪いわけで決してないのですが)をできるだけ介在させない形がトレンドとなっています。
私達は本来サプライ側のサポートベンダーですから、広告主/代理店と直接話しをする機会は立場上なく、これはメディア側も特定の大きいメディアで自社のセールスチーム営業チームがある場合を除き、直接接点のないメディアが多いです。
ただここ数年、我々はそのあたりを代行する立ち位置に変わってきて、現在代理店を中心に直接コンタクトをとり、当社経由で取引のあるメディアへの広告の配信をサポートする立場に変わってきています。
リテールメディア領域では更に、デマンドであるブランド/代理店が検索広告やソーシャル広告同様、直接RMNを利用して直接小売業者のインベントリを買い付けることが当たり前となっている為、ブランドと小売業者がまるで実店舗同様、直接コミュニケーションをとる形となっています。
この状況に適合させるため、私達はブランド/代理店に対して我々のプラットフォームを通じてオンサイト広告、オフサイト広告を配信できるプロダクトの提供を始めました(2024年1月現在はまだ一部機能のみローンチ済)。
そうです、本来サプライの立ち位置であった我々がデマンド側へのプロダクトを提供することで、デマンド側のニーズを満たしつつ、サプライ側へ収益性を高めることができるようになったのです。
これはアドテク領域では大きな変化で、この領域を開拓することで私達的にもアドレッサブル(取引可能)な商圏が広がることに直結するのです。
リテールメディアブランドの種類
リテールメディアのブランドも大きく2つに分けることができます。
小売業者と直接取引関係のあるブランド(エンデミックブランド)
小売業者と直接取引のないブランド(ノンエンデミックブランド)
例)小売業者がドラッグストアの場合、
エンデミックブランドは、医薬品メーカーや最近では日用品メーカーも多く見かけますね
ノンエンデミックブランドは、ゲームメーカーなどドラッグストアでは売っていないブランドが該当します
リテールメディアはまず、エンデミックブランドがリテールメディアネットワーク(RMN)を活用する直接的なモチベーションがあります。当たり前ですよね。ECサイト/アプリに自社のブランドを配信することで、購買を促進させることができるのですから。
一方で、たくさん人が集まるところに広告を出すのは基本ですので、そのECサイト/アプリが多くのユーザーに支持されているのであれば、必然的にノンエンデミックブランドも広告を配信するモチベーションがでますし、それがデータドリブンな広告であればなおさらです。
そしてブランドは既存予算の中から(もちろん新規予算化しても問題ないですw)、従来アロケーションしていたところから、RMNに予算をシフトしています。
大きなところではソーシャルメディアからのシフトが多く見られます(元々予算が大きいですからね)。
マーケター視点では(キャンペーンにもよりますが)、検索広告、ソーシャル広告で大きく予算を使っていた場合、RMNをプランニングにいれることで従来の代わり映えのない広告プランニングに変化を出せるのも大きいですし、RMNはクローズドループレポーティングにより、効果がわかりやすいので扱いやすい点もサードウェーブになっている背景のひとつだと思います。
🛠ギャップ
リテールメディアのデマンドサイド的なギャップは、米国は既にRMNが機能しており、それをツールとして使い倒すというフェーズなので、ブランドが直接もしくは代理店がブランドから予算を得て運用する形(例えばAmazon adsやWalmart Connectなど数十のRMNを使ってプロダクトリスティング広告やオフサイト広告の配信をしていますが日本はそのような環境にないです。
👽ハードル
日本は代理店文化が根強く、ブランド自体が広告運用チームを持ち自社で運用することは稀であるため、代理店へ広告運用を丸投げしてしまう
代理店のプランニングは検索広告、ソーシャル広告に偏りがち
ブランド、代理店ともにリテールメディアを運用するリソースがない
代理店主導(デマンドドリブン)で新しいリテールメディアを作り上げようという流れがあり、米国のような形(サプライドリブン)でのRMNの文脈にならない
RMNが草創期であるため、活用できるRMNがAmazon Adsぐらいしかない
リテールメディアという言葉は認識されつつあるが、実際にまだ海の物とも山の物ともつかない
〆まとめ
日本ではリテールメディアに関する記事をみても、デマンド主導の文脈が多いですよね。店内サイネージに代表されるインストア広告もそうですし、アプリを束ねてメディアを作ったり(この動きを本来サプライ側が独自にできることが理想なんですが、まだ難しいんですよねぇ)。代理店サイドはリテールメディアの面を絞っている気がします。例えば大手スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア。いわゆるFGCM(Fast Moving Consumer Goods)の日用品メーカーを決め打ちしている感じです。彼らのファーストパーティデータを活用して広告配信するというのが日本のRMNの基本な気がします。
RMNは広告が軸になるのと、私の立ち位置も広告が主軸なので広告というキーワードはハズせません。なので米国のような形になるにはかなりの時間もかかるでしょうし、アングルも変えないといけないと思います。デマンドサイドへの私の関わり方としては、
如何に魅力的で効果の見える広告インベントリを揃え
小売業者のデータを活用し
確定IDを含ませ
クローズドループレポーティングで効果を可視化する
リテールメディアマーケティングという定義はまだ明確化してないと思いますが、マーケターにRMNを使った施策を当たり前にしていく、そのためにブランド、代理店とコミュニケーションを重ねて、協業していきながら、当社のバイサイド向けのプラットフォームを活用して、広告配信をしていただく形を目指したいですね。
今年からいよいよCookie規制も本番化しますし、いよいよオープンウェブ周りは従来のパフォーマンスどおりにはいかなくなると思います。RMNはファーストパーティデータを使う形を前提ともしているので、この影響が受けづらいことがサードウエーブの背景にありますので、そういった意味でもRMNの活用モチベーションは潜在的にあります。
また、オフライン広告の活用で当社の強みはCTV/OTTにあると考えているので、日本の放送局を中心にリテールデータを使ったTV広告並の大画面への配信に活用して頂けるのではないかと思っています。コッチかなぁ。わかりやすいのは。
🖊編集後記
年末からお正月にかけて、奥さんの実家がある新潟は上越に帰っていたんですが、そこでなぜか義兄がイカ飯の話をしだして「イカ飯ほど残虐な料理はないよ!」と言い出したのが面白かったです。理由は、自分のハラワタを抜き取られて代わりにに自分足を突っ込まれているから。だそうですww
そんなこと思いもしなかったんで、面白い視点だなぁと思うと同時に今度イカ飯が食べづらくなってしまったなぁと思ったのでした。
それではまた次回。
今回の記事はいかがでしたか?
🙏 こちらでの情報が少しでも皆様に有益だと感じていただけるようであれば是非、シェアといいね!などポチっとお願いします。リアルに励みになります。
また、ご購読いただくと、オートマチックにRetail Media Online (RMO) がお手元に届きます。是非ご検討ください
コメントなど残していただけるとなお、身が引き締まります!のでよろしければこちらからお願いします。