Kroger の考える、リテールメディアの今後のポテンシャル
米国大手スーパーマーケットの Kroger はリテールメディアは 2024 年さらに 20% の成長を見込んでいると話しています。様子をうかがいます。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
Kroger(クローガー)は、米国のスーパーマーケットチェーンです。アメリカの食品雑貨販売業において、Walmart(ウォルマート)やHome Depot(ホームデポ)と共に大手企業の一角となっています。2022年10月14日、 同業界大手の Albertsons(アルバートソンズ)を買収することで合意しています。
今回は Kroger のリテールメディア戦略について考えてみます。
📣この記事でわかること
Kroger の RMN
リテールメディアはまだピークに達していない
パーソナライゼーションがさらなる利益を生む可能性がある
値引きを求める消費者行動は根強く残っている
オムニチャネル戦略は必須
それでは本編スタートです。
Kroger の RMN
米国では既にるテールメディアネットワーク (RMN) が飽和状態に近い環境にもあります。各カテゴリの小売業者のリテールメディアへの参入が相次ぎ、コモディティ化や規模を持たないRMNは差別化に苦慮し明暗もでていきています。標準化や透明性にも課題感がでてきており、RMN の利用者である広告主、代理店は RMN の取捨選択を始めています。よろしければコチラの記事も参照ください。
リテールメディアはまだピークに達していない
Kroger は自社のリテールメディアネットワーク (RMN) である Kroger Precision Marketing (KPM) を持っていますが、そのような環境下でも彼らの推測では KPM は 2024 年に 20% の成長を見込んでいます。
Kroger は昨年、セルフサーブのソリューションを提供し始め、クライアントがキャンペーンと Kroger の顧客データをより詳細に管理できるようにしました。彼らが力を入れているのは、オフサイトをより管理された方法から、広告主にもっと柔軟性と透明性を与えるシステムに移行することです。この動きは、リテールメディアの広告主にさらなるコントロールと柔軟性を与えるためのより大きな取り組みの一環で、たとえば、同社は昨年秋に、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)のThe Trade Deskと提携しており、他のDSPとも提携する予定です。彼らは、ブランドがオーディエンスデータを活用し、好みの DSP で取引できる機会を創出しています。海外の広告主やエージェンシーは特定のDSPを長期間使うため、複数年契約する傾向があるのでKPMがTTDと提携しているからといって、TTDを使わなくてはならないという選択肢だけでなく、通常使い慣れているDSPからでも Kroger のRMNを買い付けられるというのはプログラマティック広告が普及している米国ならではの考え方ですね。
パーソナライゼーションがさらなる利益を生む可能性がある
デジタルプロモーションのパーソナライズにより、Kroger は第 4 四半期にデジタル利用世帯を 18% 増加させました。大量の顧客データと高度なデータサイエンスが必要にはなりますが、パーソナライゼーションは小売業者の収益向上に役立ちます。デジタルに熱心な世帯はより多くの支出をし、リテールメディア事業を強化するため、Kroger の長期的な成長モデルにとって非常に価値があると考えられています。
そして彼らは消費者に関するインサイトを活用することで、高度に厳選されたオーディエンスを作成でき、広告主が適切なオーディエンスにリーチし、投資を最大化できるように支援しています。彼らによるとターゲットユーザーを特定するために従来の戦略を使用するブランドと比較して、厳選したユーザーを使用するテストを実行した結果、インプレッション数を 50% 削減し、同じ売上効果をもたらすことができたと言っています。インプレッション 50% 削減して同じ売上効果をもたらすことができるというのはかなりのインパクトですね。広告フォーマットによりますが CPM ベースの広告インプレッションが 50% 減らせればその分、他のキャンペーンに予算を回すことができ KPM への ROI が高まることを意味します。
値引きを求める消費者行動は根強く残っている
Kroger の顧客は 2023 年に 40 億枚のクーポンを使用しましたが、これは 2022 年より 10 億枚増加しました。2023 年にインフレが鈍化したにもかかわらず、食料品価格は依然として高止まりし、消費者はコストをカバーするためにセールや割引に依存しています。経済状況が依然として厳しい状況が続けば、消費者のお買い得品への渇望が弱まる可能性は低いでしょう。
これは日本でも全く同じ構図です。クーポンによる値引きは直接小売事業の利益率に影響を与えるため、これをカバーすることが RMN (ここでは KPM) に求められているということです。この点からも、彼らはリテールメディアでのニーズはまだまだ余地があると考えています。
オムニチャネル戦略は必須
Kroger によると、実店舗とオンライン両方で買い物をする消費者は、実店舗のみで買い物をする消費者に比べて 3 ~ 4 倍多く消費をしています。現代の消費者はオムニチャネルでの買い物を好みます。小売業者はオムニチャネルの買い物客を受け入れ、どこでも好きなように買い物ができるように支援する必要があります。いつでもどこでも買い物ができる消費者は、ロイヤリティ顧客になる可能性が高くなります。
ロウワーファネルだけでなくアッパーファネルもカバーする
一つのチャネルだけでなく、オムニチャネルで
オンラインだけでなく、オフライン(実店舗等)を連携させる
オンサイトだけでなく、オフサイトを対応する
一つのデバイスだけでなく複数デバイスで配信する
複数の広告フォーマットでキャンペーン展開する
〆まとめ
いかがでしたか?
米国スーパーマーケット大手の Kroger のリテールメディアについて触れてきました。混沌としている米国リテールメディア業界でTOPをいくRMNであるので、非常に大きな投資をしていますし、組織も洗練されています。セルフサーブ化することで自社の運用コストを減らし、オーディエンスデータを詳細なセグメントで提供することで 50% ものインプレッションを減らし、複数の DSP での買付に対応するなど広告主視点での対応が目立ちます。背景としては、消費者は引き続き安いものを求める傾向が続き、これによる小売業者としての利益率に引き続き打撃を与えることは見えているため、リテールメディアからの収益はリテールメディアを運用する小売業者の第二エンジンでありつづけると共に、さらに RMN としての洗練が求められていると感じます。
🖊編集後記
鳥山明さんにつづき、TARAKOさんの訃報が。。ルパン、ドラえもん、ちびまる子ちゃんと長く続くアニメの声が変わることは宿命ですがショックですよね。アニメ界、マンガ界での悲しいニュースが続きますね。しかもお二人共 60 代。100 歳時代といわれて久しいですがそれ以前に 60 代を無事にクリアしないと。という気になりました。御冥福をお祈りします。
それではまた次回。
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