中小規模の小売業者はどうRMNにアプローチすべきか
米国のリテールメディアは群雄割拠な状態ではありますが、Amazonの一人勝ち状態であることも事実です。TopティアのRMN以外の中小規模の小売業者はどのようにRMNにアプローチすべきか考えてみたいと思います。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
日本でも先日のウエルシアとツルハの統合など、ドラッグストアを中心にリテールメディアに関するニュースが増えていますが、米国では 2024 年のリテールメディアへの広告支出予想額は2023年の 22.5% 増の 553 億ドルに達し、2027 年末までに 2 倍となり、米国のデジタル広告支出の 1/4 以上をリテールメディアが占めると予測されています。
また、グローバルの観点でもリテールメディアは急速に成長しており、2023 年から 2025 年の間にも 50 億ドル近く増加する見込みです。
このように世界のデジタル広告費が大量にリテールメディアに流れ込んでいます。この予算を獲得するために大小様々なRMNがこの予算獲得競争に参加しています。しかし中小規模の小売業者がAmazonやWalmart同じ種目のレースに参加する必要はありません。廣瀬が所属している組織のVPがいいこと言っていたので今回はこちらの内容をベースに記事化してみました。
📣この記事でわかること
リテールメディアはあらゆる規模の小売業でも機会となり得る
リテールメディアの成功基準を特定する
独自の価値を見つける
それでは本編スタートです。
リテールメディアはあらゆる規模の小売業でも機会となり得る
リテールメディアはどのような規模の小売業者にとっても、新たな収益源、緊密な顧客関係と貴重な自社の購買データを最大限に活用する機会になります。
しかし、AmazonやWalmartには彼らの戦い方があり、彼らはスーパーマンです。陸上競技の種目に例えると、彼らのレースはオリンピアンの理想に近い「走る」「跳ぶ」「投げる」という人間がもつ運動能力の極みであり、1 番難易度が高く、そして求められるものが多い十種競技のようなものです。
それに対し、中小規模の小売事業者が同様のことをできるかというとそうではありません。中小規模の小売業者はそれなりの戦い方があり、出場する種目、レースを選ぶことで勝利に近づくことができます。
そのためには、独自のコンテンツを作成する必要があり、リテールメディアを駆使しどこに向かい、自社のゴールに向かい達成可能性が最も高い方法を戦略的に考える必要があります。
リテールメディアは比較的新しい概念ですが、小売業界全体の歴史的な盛衰を思い起こすことで、理解が深まるかもしれません。
数十年前、大手小売業者の台頭により、その規模とそれに伴う機能に対し、専門小売業者や地元の小売業者が駆逐され、果ては消滅する運命にあると思われた時代がありました。そして実際、小売業界は激動の時代を経験しました。
最終的に、小規模な専門小売業者は状況を把握し、規模や価格ではなく、卓越したカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)とパーソナルタッチ(個別接点)に価値を集中させるという独自の価値提案を中心に方向転換しました。
これはまさに、中小規模の小売業者が、競争が激化するリテールメディア領域内で自らの方向性を定める方法です。
リテールメディアの成功基準を特定する
前述のとおり、リテールメディアはトレンドです。ですがすべての小売業者が望む成功は異なるはずです。PubMaticとForrester Consultingのレポートによると、
成功を収めている小売業者は、サプライヤーや消費者との関係を改善し、自社ファーストデータを収益化することに重点を置いている。
あまり成功していない小売業者は、収益源を見つけることに重点を置いているか、単にリテールメディアプラットフォームを試験的に導入しているに過ぎず、そしてそれが長期的な戦略であるかどうかわからない。
また、規模を拡大する能力や十分な在庫を提供する能力が不足している可能性が高く、バイヤーエクスペリエンスが損なわれる。
小売業者が一貫して直面する問題は、リテールメディアを戦略的に展開するための社内専門組織(知識)が欠如していることです。逆に、成功している小売業のリーダーたちはこれを成功の最大の鍵として挙げています。
今後、この知識や専門知識のギャップを埋め、小売業者が戦術的および戦略的な方法でRMNを構築できるようにするためには(利益率は下がりますが)パートナーシップを組む形がコスト、時間等の観点でも有用です。RMNの構築に際してはテクノロジーパートナーに頼ることになるでしょう。
リテールメディア戦略による売上が大部分のシェアを占めるであろうメガプレーヤーと比較して、中小規模の小売業者にとってリテールメディア戦略が自社独自の強みを確実に発揮できるパートナーとソリューションの種類が鍵となります。
独自の価値を見つける
それでは、中小の小売業者にとっての独自の価値とは何でしょうか。
Amazon、Walmart、Targetおよび、その他の選ばれた少数のTopティアの小売業者がリテールメディア領域を支配する運命にあるとはいえ、小規模小売業者や専門小売業者が持つアセット(およびテクノロジー)をうまく使えば、まだまだ多くの収益とチャンスを手にすることができます。そのために必要な指針をいくつか紹介していきます。
できるからといって、やるべきというわけではない
リテールメディアへの参入を決める際には、しっかりと吟味する必要があり、覚悟を持って参入すべきです。リテールメディアは「作れば来てくれる」という類のものではありません。それには献身的なリソースとテクノロジーへの投資が必要です。
小売業者は本格的に取り組む前に、広告主に対して他では得られないものを提供できるか?の棚卸しをおこない、その価値を提供できるようリソースを確保する必要があります。中小規模の小売業者が行う必要があること
自社のファーストパーティデータを定量化し、市場で入手可能な他のデータと比較、評価すること。
リテールメディアパートナーに、自社が提供する独自の価値を正確に認識してもらうこと
手を広げすぎて自分の価値を薄めない
ほとんどの中小規模の小売業者は、既存のチームに過大な負担をかけずにリテールメディアの価値を引き出すためにパートナーシップを提携する必要があります。その点で、提携する企業が誇大広告ではなく実質的なものであること、そして成功と改善に必要なコントロールとレポーティングを提供する単一のプラットフォーム内で達成すべきことが望ましいことを確認する。中小規模の小売業者が行う必要があること
市場規模に対応できるリテールメディアパートナーを見つけ、必要に応じて規模を拡大し、広告在庫を保管できる提供できるパートナーを見つけること。
リテールメディアのプレーヤーが結束すると強力になる
PubMaticの調査が示したように、リテールメディアのほとんどのプレーヤーにとって、規模は重大な障害となる。特に中小規模の小売業者にとって、希望するリテールメディアを構築するための在庫規模を確保することは困難となることが多い。
中小規模の小売業者が行う必要があること
小規模RMNは、サプライサイドの共同体(コンソーシアム)を形成する為に統合することを検討すること。ほとんどの小売業者は、ウォールドガーデン(箱庭)化するほど大きな規模ではありませんが、より大きなネットワークに参加し、関連するインサイトを共有することで、長年続いているカタログマーケティング共同体のように機能することができます。
今日の小売業者は、一握りの大手小売業によって支えられる状況に馴染んでしまっています。しかし、アドテクノロジーから学んだことがあるとすれば、それはテック企業が大企業も中小企業も、既存企業も新規企業ともうまく連携し、それぞれの独自の強みを発揮することで、すべてのリテールメディアプレーヤーにとって最良の結果をもたらすことができるということです。
〆まとめ
いかがでしたか?
リテールメディアの立ち上げは簡単ではありません。特にリソースや潤沢な資金があるわけではない中小規模の小売業が、RMNを立ち上げた場合、せっかく立ち上げても頓挫してしまわないよう、周到な準備が必要です。ここで触れた指針は少なくとも必要だと思いますし、自身の型というべき強みをいかに見出して、広告商品であったりソリューション化できるか、それを発揮できるパートナーを見つけることが重要です。最後の規模、スケールの部分がやはり最大の難点ですがここは複数小売事業の連合を検討していくこと、ここは廣瀬個人的にも開拓していきたい領域です。
🖊編集後記
今日は、所用があってWFH (Work from Home) です。所用というのが築 35 年(平成元年)の賃貸マンションが長期修繕工事中で、その流れで窓サッシを隣に住む大家さんのご厚意で 2 重サッシにしていただけるのです(ありがたや)。今日はその工事の立会いです。今の 2 重サッシって既存の窓を活かして 2 重サッシにうまくなるものなのですね。これで隙間風と外からの音とオサラバです。そしてエアコンもさらに使わなくなるかもね。
それではまた次回。
今回の記事はいかがでしたか?
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