リテールメディアが MFA と安い広告在庫を活用しているという話 (後編)
少々ネガティブなタイトルですが、リテールメディアがパフォーマンスを維持するために、クオリティーの低い広告在庫を活用しているという指摘があります。今回はその後編です。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
前回は、リテールメディアが MFA や品質の低いメディアへ広告配信をしている事態について言及していきました。今回はその後編です。RMN に対してのネガティブな指摘をまとめています。
📣この記事でわかること
RMN が過渡期に来ている?
RMN が成長するためにしていること
リテールメディアのレモンマーケット
それでは本編スタートです。
RMN が過渡期に来ている?
独自の帝国を築いている Amazon と Google は別として、実は RMN は、広告を配信するスペースが不足しているところまで来ていると考えている代理店バイヤーもいます。リテールメディアは動画や CTV のビジネスは始まったばかりで、オンサイトのトラフィックも広告スペースもそれほど多くない。つまり、リテールメディアにはバイヤーからの需要も貴重なデータもあるのだけれど、その広告予算の行き場がないことを意味します。
ある大手飲料ブランドのマーケティング担当者によると、トップ 10 に入る食料品店のサイトのトップページに掲載されるありふれたスポンサージャック広告は、ウェブ上で最も高価な広告のひとつかもしれない、米国大手スポーツ専門チャンネルの ESPN のトップページのジャック広告や CTV のプレミアムスポットよりも高い、とその担当者は言っています。
RMN が成長するためにしていること
ひとつの選択肢は、広告プラットフォームの効率とROAS指標を改善することです。追加の広告在庫や予算がなくても、RMNはより大きなアトリビューションクレジットを主張することで、収益を増やすことができます。
そして、これを実現するための費用対効果の高い方法のひとつは、MFA やその他の透明性のないネットワークのプレースメント全体にバナー広告を配信することでです。
透明性を求める業界全体の取り組み一環として、一部のリテールメディアは広告の検証を許可しています。しかし、そのほとんどは過去数年間に立ち上げられた小規模なRMN との差別化をする方法のひとつとして、透明性を考慮している大規模な企業 (RMN) です。
多くの RMN は、広告費に対して 50 ドル、もしくはそれ以上のリターンを報告しているが、実際の顧客の購買サイクルとは無関係のようだと、アルバーソンズのビジネス戦略・マーケティングサイエンス担当副社長、クレア・ワイアットは、昨年のリテールメディアメディア標準化に関する IAB パネルセッションで述べました。
リテールメディアのレモンマーケット
ブランドは小売業者との関係における不釣り合いな関係性にしばしば悩まされることがあります。しかし、この場合ではデータのアシンメトリー (非対称性)というさらに大きな問題が、彼らの憤りに拍車をかけています。リテールメディアには大きなレモンマーケットが存在し、ログファイルやキャンペーンレポートを要求し、監視することに熱心に取り組んでいるブランドでさえ、この広告アトリビューションの巧妙さを監視することはほとんどできていません。
だからといって、ウォールドガーデンのAmazon での商品販売を止めることができるわけもなく、CPG は食料品店やコンビニエンスストアから商品を引き上げることもできません。小売業者はそのデータ格差を大いに活用して、大きな成果に見せかけることができます。
食料品チェーンは、オンライン食料品店の買い物客が特定の商品を再購入する頻度や、例えばイースター(復活祭)のような特定の時期に購入する季節商品があるかどうかを非常によく把握しています。小売業者はまた、買い物客のカートに現在何が入っていて、同時に何が買われそうかも把握しています。例えば、以前「コルゲート歯磨き粉」と検索した人は、おそらくそのチューブがなくなったらコルゲート歯磨き粉を買うでしょう。RMN のような有料メディア経由でなく、ブランドでコンバージョンに至った場合でも、RMN はリテールメディア経由でのコンバージョンとしてタグ付けできてしまいます。
ブランドは、自分たちでは決して支払わない広告枠に広告費を使う RMN に悩まされています。CPM が数セントでも上がったり下がったりすることも問題ではありますが、アトリビューションクレジットはそれ以上に (しかもかなりの額の) 利益率を減少するものであれ、無駄なメディアに支払うコストよりもはるかに大きな影響を及ぼします。
小売業者が契約上、ショッパーマーケティング予算を取り、それを独自の裁量で使用するのはフェアかもしれませんが、もし RMN が、すべての顧客が自社のプラットフォームによってもたらされたものであると考えているのであれば、彼らはブランドがブランドによってもたらされる売上を本当に信じていないことにつながります。
〆まとめ
いかがでしたか?
前回、今回とイケイケのリテールメディアではなく、リテールメディアが抱えている闇の部分について触れてきました。アトリビューション問題は、アプリマーケティングやプログラマティックなども含め、決してリテールメディアだけでの問題ではないのと、リテールメディア自体が比較的新しい広告商品でもあるので、この内容からリテールメディアはダメだ。となってしまうのはいささか短絡的過ぎます。背景としては、RMN を運用する小売業者の広告ビジネスに対するリテラシーや、売上至上主義的な考え、ウォールドガーデン化があります。これを解決するには、IAB などが既に動き出しているように、業界のルール化、標準化を進めていく一方、RMN を運用する小売業者と広告出稿する広告主側とのコミュニケーションが一層大事になってくるように思います。日本では、まだこれからというタイミングではあるので、標準化が進んでいけばこのあたりの懸念はやわらくのではとも思います。楽観的すぎますかね。
🖊編集後記
先日、不正請求があってカード会社からの連絡で未然に防ぐことはできたんですが、おかげでカードを作り直ししてました。2 週間ぐらいですかね。。みなさんもそうかもしれませんが、QR決済などで現金、下手すると財布も使わない状況になっていませんか?クレジットカードがスマホ、QR決済に紐づいているので、今回クレカの作り直しの間、思った以上に不便でした。さらにポイントも絡んでクレカでの支払いが多い廣瀬としては、クレカ支払いの変更が面倒でなんかなぁという思いをした次第です。気をつけましょうと言える話ではないので、アレなんですが。
それではまた次回。
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