WalmartがVIZIOを買収する意味
TVのOSとデバイスを所有することになるとWalmartがユーザーにリーチできる範囲が広がるのはもちろんのこと、TVOSでのWalmartがTVコンテンツまで領域を広げる可能性が高いです。詳しく見ていきましょう。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
2024年 2 月 13 日にWall Street JournalがWalmartがTV製造メーカーであるVIZIOの買収を交渉中であるというニュースが流れました。金額は20億ドル(約3000億円)規模です。このディールは現在交渉中であり、実現しないかもしれませんがこの取引が成立すると、Walmartはまた新たな企業としての側面を持つことになります。
📣この記事でわかること
VIZIOとは
Rokuとの関係性は?
このディールにより実現し得ること
それでは本編スタートです。
VIZIOとは
今回、Walmartの買収交渉の相手であるVizioについて触れておきます。
Vizioは米国の液晶TVメーカーであり、2005 年にカロフォルニア州オレンジカウンティで創業されています。主力製品はスマートTVで、ホームシアターディスプレイ、サウンドバーなどを製造しています。特長は完全なファブレスメーカーで、液晶テレビの企画と設計だけをおこなっているところです。株主でもある台湾の鴻海精密工業と同じく台湾資本のEMSメーカーである瑞軒科技(Amtran Technology Co., Ltd. )が購買、製造、物流に協力しており製品の生産は瑞軒科技に委託しています。
北米マーケットではSamsung社を抜いて 2007 年には 1 位になっている。販売チャネルはコストコなどホールセールクラブやウォルマートが中心。1
またVIZIOは既に、2300万人のログイン視聴者を持っています。これはVIZIOにTVOSがあり、WatchFree+というFAST(Free Ad-supported Streaming TV)チャネルを持ち、これらにログインしているユーザーと考えられます。
Rokuとの関係性は
メディアストリーミング端末、およびCTV 向けのOSを開発しているRokuはアメリカ国内でGoogleのChromecast 、Amazon Fire TVなどのストリーミングデバイスよりも多くのシェアを獲得しており、ケーブルテレビに変わるコンテンツ取得方法として最もポピュラーな方法となっています。Roku経由で、Netflix やAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスを視聴、もしくはRoku独自のコンテンツを広告つきで視聴することができます。ちなみに Roku は日本語の 六 に由来しているそうで、創業者が6つ目に創業したビジネスっていうことで名付けたらしいです。
RokuはCTV OSの25%を占めるまでに成長しており、Walmartは2023年Q3までの9ヶ月間で、Rokuのデバイス収益の45%を占めたと推測されています。
これは、WalmartとRokuがコラボで開発したRoku OSを搭載したWalmart プライベートブランドのTVデバイス Onn. を低価格CTVとして展開していることも大きな背景のひとつです。2
このディールにより実現し得ること
CTVがオンサイト配信になる(Walmart Connect上で)
TVメーカーであるVIZIOの買収は、急成長しているWalmartの広告ビジネスに大きな影響を与えることは容易に考えられます。いままでスマートTVいわゆる、CTVはオフサイト(オウンドメディアではない)領域であったのに対し、この買収によってオンサイト広告として取り扱うことができ、これまで以上に消費者との関わりや視聴体験、パーソナライズされた広告配信が可能になることは容易に想像できます。
VIZIOの既存ユーザー(データ含む)と高収益ビジネスの取り込み
Walmart ConnectはWalmartの広告ビジネスドメインであるが、Amazonを除く世界最大のリテールメディアネットワーク (RMN) として成長しており、今年は45億ドル超の売上が見込まれている。この買収が実現すれば自社のRMN内にCTVを配置することが可能になり、さらにVIZIOの1800万人のアクティブなユーザーを取り込むことができます。
VIZIOは、60%以上のマージン率で年間広告収入が27%を超えて成長している独自のソフトウェアプラットフォーム事業をもっているので、WalmartがVIZIOを買収することは、この高収益体質な事業を取り入れることに繋がります。
Walmartが米国TVデバイス市場で大きなプレゼンスを発揮
アナリストによると、Walmartが販売するCTV 1位は VIZIO で、VIZIO TV の70%近くが小売店で販売されているとのこと。もしこの買収が実現すると前述したプライベートブランドの Onn.とVIZIO を加え、米国のテレビ市場の22%を支配できる可能性があるともいわれています。3
先日、RMOの米国のリテールメディアネットワーク(RMN)のCTV広告配信という記事で、WalmartとRokuのショッパブル広告配信について触れていますが、VIZIOがWalmartの一部となれば、昨年発表しているWalmart + Rokuの独占契約にどう影響するのか気になります。RokuにとってVIZIOの買収は明らかにマイナスです。
CTVでの新しいショッピング体験の入口に
いずれにしても、この取り組みにより Amazon, Walmart共に、大画面であるTV面への広告配信を更に進化させ、外部とのパートナーシップよりも内製化した広告商品の開発、新しいカタチのCTV広告のユーザー体験を提供することが可能になるかもしれません。そうなるとますます彼ら自身のウォールドガーデン化が加速することでしょう。
また、ライブコマースのようにTVショッピング的なコンテンツや、自社でTVコンテンツを作成し配信し始めたりするかもしれません。そうなるとコンテツを制作するOTT事業者の側面も持つことになります。
〆まとめ
いかがでしたか?
米国はやることがダイナミックですよね。とくにWalmartは内製化への投資もそうですが、それ以上に買収による取り込みが目立ちます。なによりスピードですね。
このディシジョンをこのスケールでおこなえるのが強さなのかなと。
日本の小売業でこのようにビジネス自体を進化させていくことって見ることできない気がするので、違いが気になります。
🖊編集後記
先日の週末に奥さんとゴルフに行ったのですが、散々でしたw
インドアの練習場で作った自分のフォームが、ラウンドではまったくできていないこと、そしていろんなものが噛み合わず 112(47パット)というあんぐりなスコアでした。
そんな中、松山英樹選手が難コースで名高いリビエラカントリークラブのGENESIS インビテーションカップでなんと、最終日62のビックスコアで大逆転優勝!
2年ぶりの優勝を見て、自分の小ささを戒めた次第です。次回のゴルフに向けて励みます!そうそうリビエラカントリークラブは日本人がオーナーなんですよね。喜びもひとしおかと。
それではまた次回。
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