マーケターのためのリテールメディアキャンペーンのベストプラクティス (後編)
米国のリテールメディアをメーカー、ブランド、マーケターはどのように設計、活用しているのでしょうか?ベストプラクティスについて覗いてみましょう。後編です。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
先日、リテールメディア 101 をお届けしましたが今回はそれに続く、米国のリテールメディアを活用するマーケターにとってのベストプラクティス1について触れています。今回はその後編です。ちなみに前編はコチラ。
リテールメディア広告は、広告主が小売企業のウェブサイトやアプリ上で消費者に直接リーチし、商品の購入を後押しする為のポジティブな影響を与えることができます。小売企業が独自のデジタル広告プラットフォームを構築し、クオリティーの高い購買データを収集するにつれて、新たなターゲット広告の機会が生まれています。
一方でリテールメディアは従来のデジタル広告とは異なるアプローチを必要とすることを理解しなければなりません。キャンペーンは各小売企業のビジネスニーズや消費者の行動インサイトに合わせて調整する必要があります。
リテールメディアのキャンペーンを展開する際には、以下のベストプラクティスを参考にすることで、より大きなブランド目標を達成しながらパフォーマンスを向上させましょう。
📣この記事でわかること
店内プロモーションと連携しよう
インクリメンタル (増分) リフト を測定しよう
チャネル全体のメリットを証明する
リテールメディアキャンペーンの具体例
リテールメディアの今後の展望
それでは本編スタートです。
店内プロモーションと連携しよう
リテールメディアはオンライン購入に直接影響を与えるとはいえ、現実には日用消費財の売上のほとんどは依然として実店舗で発生しています。そのため、リテールメディアを実店舗内のプロモーション、ディスプレイ、マーチャンダイジングと連動させることが重要です。
リテールメディアキャンペーンを実施する場合は、店舗担当者にクリエイティブのプレビューとメッセージを提供して、店舗内でのアクティベーションが戦略を強化できるようにします。オンラインと店舗で同じ商品をキャンペーンし紹介します。
プロモーションを実施している特定の店舗の近くの消費者を対象にデジタル広告をエリアターゲティングすることで関連性が高まります。Walmartのような小売業者は、特定の店舗で扱われている商品のみを宣伝するスポンサープロダクトキャンペーンも実施しています。
オムニチャネルに対応することにより、一貫したメッセージングを発信し、キャンペーンの効果を最大化します。これによりデジタルチームと店舗チーム間のコラボレーションも強化されます。
インクリメンタル (増分) リフトを測定しよう
広告主はリテールメディアへの投資から得られる収益の増加を把握する必要があります。シンプルな ROAS だけでは全体像を把握することができません。
小売業者と協力して、リテールメディアキャンペーンが実店舗に対するリフトがどれぐらいあったのか検証してください。IRI Media Sales Effect や Nielsen の Diameter のようなツールは、キャンペーン前のベースラインに対するリフトを定量化するのに役立ちます。プロモーションされた特定の商品の売上の増加を評価することもできます。
このクローズドループ測定から得られるインクリメンタリティこそは、リテールメディアの効果を示す真の指標です。これは広告主にとって、継続的な投資や新しい小売業者への投資の拡大を正当化するのに役立ちます。独自のリフト分析なしに、販売業者が提供する ROAS 推定値だけに依存しないようにしましょう。
チャネル全体のメリットを証明する
チャネルをリテールメディアひとつに限定して測定すると、全体像が見えなくなります。オンラインと実店舗の両方で、小売業者全体の売上への影響を見るようにしましょう。
全体的にマーケットシェアを獲得できれば、Walmart へのリテールメディア支出が増加し、Kroger やその他のバナーでの売上も増加するはずです。Amazon 広告によるオンラインでのアップリフトにより、Target での実店舗での購入を押し上げるかもしれません。。
統計モデリングを実施して、リテールメディアからの全体的なチャネル全体のリフトを推定します。リテールメディア広告に接触した消費者を調査し、実店舗内での購入を追跡します。これらのテクニックは、真のセールス効果を定量化するのに役立ちます。
財務モデリングは、マーケティングミックスモデルにおけるリテールメディアの収益への影響を実証します。売上貢献に基づいて適切に割り当てられれば、メディア全体のアトリビューションに占めるリテールメディアの割合はますます高まるはずです。
リテールメディアキャンペーンの具体例
最近の最も注目すべきリテールメディア キャンペーンのいくつかは、大手日用品ブランドによるものです。たとえば、プロクターアンドギャンブル (P&G) は Kroger と共同で、洗濯用洗剤ブランド「Gain」を中心としたキャンペーンを実施し、ビデオ広告とディスプレイ広告を使用して、購買データに基づいて洗濯洗剤を購入する可能性が高い世帯をターゲットにしました。このキャンペーンは、新規購入者に Gain を試してもらうだけでなく、既存の購入者の購入も増加させることで、高い ROI を生み出しました。
リテールメディアキャンペーンのもうひとつのトップ事例は、Pepsi と Albertsons の夏の販売促進に関する提携です。Pepsi は、Albertsons のサイトやアプリ全体の至る所でスポンサープロダクトリスティング広告 (SPL) 、バナー、その他のデジタルプレースメントを使用し、以前に同社商品を購入したことのある Albertsons の買い物客をターゲットにしました。その結果、プロモーション期間中の Pepsi の売上は 3% 増加しました。詳細はコチラ。
大手消費財メーカーだけでなく、小売業者自身が自社のリテールメディアネットワーク (RMN) を活用することも珍しくありません。Target は、Roundel 広告プラットフォームを使用して、自社のチャネル全体でプライベートラベルブランド「Good & Gather」の販促キャンペーンをオウンドチャネルで実施しました。ビデオ広告とディスプレイ広告を中心としたこのキャンペーンは、認知度と検討に重点を置き、購買意欲を高め、オンラインと店舗の両方での売上アップにつながりました。
リテールメディアの今後の展望
リテールメディアが成熟するにつれて、大手小売業者全体で実績のある規模の投資をするよう広告主/ブランドに対するプレッシャーが高まっていくことが考えられます。それに伴い、パフォーマンスとそれに依るインパクトに対する監視の目も厳しくなるでしょう。
これらのベストプラクティスを参照することで、広告主/ブランドはリテールメディアを通じて投資とパフォーマンスのバランスをとることができます。オムニチャネルのアプローチを採用する企業は、デジタル小売と実店舗の間のサイロがなくなるにつれて優位に立つでしょう。
〆まとめ
いかがでしたか?
リテールメディアはマーケティングとセールスチームが融合する必要があります。 なぜなら広告主、代理店、プラットフォーム、小売業者が一体となって、現代の消費者と関わっていかなければならないからです。
これは日本で米国流のリテールメディアを切り開こうとする際の大きなチャレンジです。でもこのリテールメディアのベストプラクティスを理解することで、広告主はこの成長機会をうまく乗り切る一助になると幸いです。
次回は、リテールメディアがどの部署に帰属することが良いのか?について探っていきます。
🖊編集後記
鳥山明 さんが亡くなっちゃいました。学生時代ドラゴンボールど真ん中だったなぁー、というかアラレちゃんもね。
でも個人的にインパクトあったのは、死ぬほどプレイしたドラゴンクエストのキャラ達。あの時ほどゲームにのめり込んだ時はなかったな。特にIIIね。
御冥福をお祈りします。
それではまた次回。
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