米国地方ピザチェーンのリテールメディア戦略〜Casey's 編
米国だけでも 100 を超えるというリテールメディアネットワーク (RMN)、今回はアイオワ州を本拠地に展開しているピザチェーン Casey's の RMN について触れていきます。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
Casey’s は、アイオワ州に拠点を置き、50 年以上前に設立されコンビニエンスストア、ピザチェーンそしてガソリンスタンドを運営しています。
今回はこの地域密着で企業展開している Casey's のリテールメディア戦略について考えてみます。
📣この記事でわかること
Casey’s とは?
米国のコンビニエンスランキング 2023
Casey's の RMN
Casey’s はなぜ RMN を立ち上げたのか?
Casey's Access が強く意識していること
Casey's のインフラストラクチャ
Caysey's の RMN の考え方
Casey's Access の広告ソリューション
Casey's Access の広告チャネル
それでは本編スタートです。
Casey’s とは?
米国アイオワ州に本拠を置き、2023 年 10 月 1 日現在、Casey's は 16 州に約 2,500 店舗を展開しています。7-Eleven によるオハイオ州中央部最大のコンビニエンスストアチェーン Speedway の買収後、Casey’s は米国で 3 番目に大きいコンビニ チェーン ( 7-Eleven、サークル Kに次ぐ) であり、完全な米国資本のコンビニエンスストアチェーンとしては最大です。同社はブレックファストピザやタコスピザなどのピザで有名で、その結果、Casey's は米国で 5 番目に大きなピザチェーンでもあります。ガソリンスタンドも運営しています。先日取り上げた Wawa と似てますね。
米国のコンビニエンスランキング 2023
セブンイレブンが圧倒的の中、Casey's は 3 位。
前回とりあげた Wawa は 9 位にランクインしています。
Casey's の RMN
Casey's の RMN は、Casey's Access です。 2023 年 5 月にローンチされました。Casey's Access は、Casey 独自のピザレストランのデータと並行して便利なゲストデータを統合することができます。
消費者向けパッケージ商品 (CPG) 企業やその他のベンダーパートナーは Casey’s の買物客データを活用して、関連するプロモーション、オファー、マーケティング コンテンツをデジタルおよび店内のタッチポイント全体に配信できるようになります。
彼らのRMN の特長は下記です。
全米 16 州、2,500 にわたる Casey の店舗を訪れる顧客をターゲット
オムニチャネルの展開により消費者が店内、オンライン、給油時に消費者に接触できる機会を提供
豊富なファーストパーティデータを活用したオンサイト(オウンドメディア、店内メディア)とオフサイトの有料メディアへの広告配信。
継続的な投資の最適化を可能にするキャンペーンの測定と分析。
Casey’s は自社の RMN の構築と立ち上げに Citrus Ad を選択しています。
Casey’s はなぜ RMN を立ち上げたのか?
私たちはリーダーシップチームとして自分自身を鏡に映し、次の50年間にどうやって関連性を維持していくかという大きな問いを立てました。
「私たちは、ここでの今後数年間で、より大きくより大胆により現代的になる必要があると自分自身に言い聞かせました。」1 そして、過去 2 年以上にわたる共同事業計画 (JBP) の中で「提携する CPG 企業が投資に対して大きなリターンを得ることができる場所が Casey's である」という考えに傾き、Casey's Access は、「Casey’s の価値提案のもう一つの重要な要素であり、これをパートナー提供することで CPG 企業は重要なプログラムやイノベーションの活性化と全体的な成功を確実にすることができる」とデジタルエクスペリエンス担当 VP の Art Sebastian は述べています。2
準備
この RMN の立ち上げは、Casey’s の「デジタル変革」構想の継続であり、同社 は過去 4 年間、テクノロジー スタックの確立、API ファーストのアプローチの構築、ファーストパーティ データの拡大と充実、デジタル エクスペリエンスとタッチポイントの開発に費やしました。例えば、2022 年の初めに、同社は IRI とのコラボレーションポータルを立ち上げ、CPG パートナーが JBP の一環としてトランザクションデータとロイヤルティデータの両方にアクセスできるようにしました。2021 年には、Salesforce と提携してファーストパーティデータが統合され、ゲストの単一ビューを提供する顧客データプラットフォーム (CMP) ソリューションを実装しています。
ベータローンチ
2023 年 5 月のローンチにあたり、同社は業界と JBP の一環として 2 月に最初のブランドと提携し、5 月には 3 つのブランドをベータパートナーとして参加するよう招待し、その間、順調にサービスを提供してきました。このネットワークは 7 月にすべてのブランドに展開されました。
Casey's Access が強く意識していること
広告環境が常に進化していること、
消費者にリーチするという課題は今後数年間でさらに増加すること
Casey's の買い物客やブランドパートナーがより深く、よりパーソナライズされた体験を求めていること
Casey's のインフラストラクチャ
Casey's は現在、
EC では SAP
マーケティングテクノロジーでは Salesforce
API では MuleSoft
オンサイト メディアについては CitrusAd
オフサイトのアクティブ化については LiveRamp と The Trade Desk
クローズドループ (CLM) のレポートについては IRI
と協力しています。
RMN を立ち上げから現在までで、Casey のデータベースは 300,000 件のレコードから 1,400 万件に増加しました。
Caysey's の RMN の考え方
Casey's の RMN の強みは、基本的にボトムアップで構築したため、整理、統一されていて非常にクリーンなことだと、述べています。
コンビニエンスストアチェーンはブランド広告主にとってユニークな機会を提供していると語ります。
VPの Sebastian の経験から通常、買い物客は 7 ~ 10 日サイクルで店を訪れる一方、Casey's の店舗、モバイルアプリ、ウェブサイトには毎月 8,000 万人以上の買い物客がおり、最も頻度の高い買い物客は週に 5 回以上店舗を訪れるそうです。
「私たちの広告は、このような最高の買い物客が店内にいる瞬間にぴったりと表示されます」と Sebastian は言います。「火曜日に広告を見て、水曜日に買い物をして、水曜日に別の広告を見て、木曜日に買い物をします。食料品売り場では、火曜日に広告を見て、水曜、木曜、金曜、土曜には広告のことを忘れ、そして日曜に買い物をするかもしれません。」
Casey's Access の広告ソリューション
オンサイトディスプレイ
スポンサードプロダクト
検索連動型広告
電子メール
SMS
アプリプッシュ
アプリ内メッセージング
アプリテイクオーバー
専用ブランドページなど
Casey's Access の広告チャネル
オウンドメディアのデジタルチャネル上で、アクティブでエンゲージメントの高い買い物客にリーチします
オウンドメディア以外のオンプレミスの機会には、
給油時のスクリーン
デジタルメニューボード
POS ピンパッド
セルフチェックアウト(セルフレジ)
コーヒースクリーンなどがあります。
ソーシャルメディア
プログラマティックデジタルメディア(オープンウェブ)
などのオフサイトチャネルを通じてもアクティブ化されます。
(買い物客は)Casey’s の食品、牛乳、パンを頼っています。それは本当に特別なことです。我々は決して最大手になることはないでしょう。私はそういうことを妄想しているわけではありませんが、この本当に特別な絆を築くことができれば、毎日の瞬間に基づいてゲストとの関係を築くことができれば、と思います。
朝はコーヒーで始まり、家族にピザを食べさせます...
ブランドがデータを使って買い物客と関係性を築くことのできるエコシステムを構築したのです。
〆まとめ
いかがでしたか?
先日ご紹介した Wawa も地方のコンビニといっても米国では 1,000 店舗ぐらいの規模で、今回の Casey’s はコンビニ全米 3 位で 2,500 店舗規模で決してローカルとは言えない規模ですが、RMN について数年かけて準備し、それ専任の担当役員 VP を設置し多彩なツールを駆使して自社の RMN を構築しています。なにより熱い思いが感じられますよね。やはりロイヤリティというのは一つのリテールメディアのキーな気がします。また広告配信基盤としては Wawa 同様 Citrus Adが採用されているのが気になりました。コンビニに強く入り込んでいる感がありますね。
🖊編集後記
先日、岡山に移住した両親が久しぶりに上京してきてあんこう鍋を食べました。いつも会う度に年老いていく母親に(もちろん父親も)複雑な心境になります。認知も入ってきて、ニコニコしている顔を見ながら、いま幸せなのかな?と。長男ということもあるのかな。限りある時間の中で、できるだけお返しできることしたいと思います。
それではまた次回。
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