こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
今回は、リテールとは別業界である銀行のメディアネットワークの立ち上げについて触れていきます。以前からお伝えしているとおり、リテールメディアのコア概念である、「自社顧客データを活用して、コア事業以外に広告という手段を導入することで、三方よしのサイクルを作る」動きは、小売業者以外でも横展開できます。JPモルガン・チェース銀行はメディアプラットフォームを導入し、自社の金融顧客データを活用して自社のメディアネットワークを発表しました1 。
📣この記事でわかること
JPモルガン・チェース銀行 とは
Chase Media Solutions (チェースメディアソリューションズ)
CHASE Media Solutions の特徴
それでは本編スタートです。
JPモルガン・チェース銀行とは
ニューヨークに本社を置く米国国営銀行 (米国連邦政府の規制構造内で運営される通常の民間銀行)で、1799 年に設立された 225 年 ( 2024 年時点) の歴史ある銀行です。
5,100 以上の支店、17,000 台の ATM を展開し、2023 年時点で 1,850 万の当座預金口座と2,500 万人のデビットカードユーザーを抱えています。従業員数は 250 万人を超え (2016年時点) JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの資産は 2022 年時点で3 兆 3,100 億ドル (150 円換算で 496兆 5 千億円 というわけのわからんレベルの金融資産をもっている、米国最大の銀行であると同時に、米国で最も支店を有する銀行で全ての米国の銀行に存在感を示す唯一の銀行であり、米国 4 大銀行 (JP モルガン・チェース, バンク・オブ・アメリカ (B of A), ウェルズ・ファーゴ、シティグループ) のひとつです2。
Chase Media Solutions (チェースメディアソリューションズ)
チェース銀行は、CHASE Media Solutions (チェース・メディアソリューションズ)という新部門を創設し、各広告主のマーケティング担当者はチェースの金融顧客のベストバイやウーバーなどでの支払い履歴に関連したターゲット取引、割引などで広告を配信することができるようになります。
現在米国では、多くの小売業者が広告主向けにリテールメディアネットワーク (RMN) を立ち上げることで新たな収益源を作っています。RMN が広告主にとって魅力的なのは、小売業者の顧客、特にロイヤリティ顧客に関する深いデータに基づいたターゲットを絞った広告を送ることができるからです。
CHASE Media Solutions の強みは、明らかにブランド広告主や代理店が支払履歴に基づいてターゲティングできるファーストパーティデータです。RMN もそのようなデータを持っていますが、それは自社の実店舗やその小売業者のチャネル内 (Webサイトやアプリ等) からの収集に限定されます。Chaseが持つファーストパーティーデータは小売店以外に他の企業で購入した支払い履歴を持っています。いうなれば、RMN のファーストパーティーデータはその小売業での購買データがメインであることに対し、銀行のメディアネットワークは、その銀行のクレジットカードやデビットカードでの決済に対してのファーストパーティーデータとなるため、範囲が RMN より広く、より顧客のライフスタイルを反映したデータであると考えられます。
CHASE Media Solutionsは、チェース銀行の持つスケーラビリティのあるデータを活用したメディアネットワークです。
1.5 兆ドルの年間クレジット & デビットカードの売上高
84 億ドルのオファープログラム (後述) による支出
6,300 万のデジタルオーディエンス
CHASE Media Solutions の特徴
オンラインのみの広告配信
チェース銀行は 5,100 以上の支店と、17,000台の ATM を持ち、リテールメディアの文脈からイメージすると、銀行の各店舗、ATMに広告を表示することが想像できますが、CHASE Media Solutions はこれらのオフラインは含まれず、オンラインのみ(チェース銀行のWebサイトやアプリ等)が配信対象です。
オファープログラムがメイン
前述のクレジットカード、デビットカードなど銀行の得意とするこの決済手法は、CLO (Card Liked Offer) というオファープログラムを活用することができます。
CHASE Media Solutions は、2022 年にカード連動型マーケティングプラットフォームの Figg を買収しており、CHASE Media Solutions のベースのプラットフォームとなっています。CLO は仕組み的に成果報酬型に近いタイプのため、広告費用対効果が高く、さらにチェース銀行の支払い履歴に基づくパーソナライズされた広告が配信されるため、受け入れられやすいと想定されます。
Step 1: チェース銀行のオウンドメディアでオファーを見つけることができる
Step 2: 気に入ったオファーをタップ(クリック)してカードにオファーを追加する
Step 3: カードを使用してオンラインまたは実店舗で買い物をし、
有効にしていたオファーに対する特典(キャッシュバックなど)を受け取る
初期のテストブランドとして、Air CanadaやSolo Stove、Blue Bottle、Whataburgerなどの名前が上がっています。
〆まとめ
いかがでしたか?
JPモルガン・チェースは、最近 495億5,000万ドルという過去最高の年間利益を報告しています。ですのでチェース銀行を黒字化させる為に広告ネットワークを立ち上げる必要ないのですが、かれらは買い物や購買体験をより細かくコントロールできるようにしたいと考えているようです。
また、小売業以外にメディアプラットフォームを立ち上げる動きはホテルチェーンなどでも始まっています。このような小売業以外での取組の可能性を廣瀬もビジネス展開するにあたり念頭においていることなので非常に参考になる事例だと思いました。CLO という仕組みを活用しているのが目を引きますよね。これで日本の銀行もうまくワークしそうな気もするのだけれど、どうでしょうか。
🖊編集後記
毎朝、おは 4 という日テレの番組をつけているのですが、お天気コーナーでよく渋谷や新橋などの交差点の風景が映ります。朝の 4 時台なので車も殆ど通っていないのですが、交差点で信号が赤のところをそのまま渡ろうとうする男性のリュックを掴み静かに引き戻す若いツレの男性が映り込んだのをみて「えらいぞー」と思った朝でした。本人たちはまさかテレビに映ってるとは思いもしていないと思いますが。
それではまた次回。
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