メリークリスマス♪✋廣瀬です。日々順調ですか?
スマートフォンは我々が生活するにあたって、切っても切れない存在となり、時間が経つにつれ、その存在は大きくなり、いつしかいろいろなものがスマートフォンを中心に生活をしていることにふと気付かされます。かつて忘れ物チェックの第一位は圧倒的に財布でしたが、いまではスマートフォンに取って代わっているのはキャッシュレスが普及してきた現在、多くの人が同意するのではないでしょうか。
そして消費者視点では、周囲にあふれる情報が、あらゆる経路からモバイルをハブにして特定の商品にたどり着くことが圧倒的に多くなっています。例えばTVの番組やCMから、アウトドアでは街なかにあふれるサイン(看板)、サイネージ、店舗内ではPOPやサイネージ、そして同僚や友人との何気ないコミュニケーションで起こった話題に至るまで、現代では日常で触れる情報の何かしらのトリガーから、最終的にはスマートフォンを経由して消費者は回答に到達するケースが圧倒的です。
このような流れの中、リテールメディアに目を移してもアプリを含むスマートフォンは大きな存在感を示しています。ただ、米国のリテールメディアを運用している小売業者と日本の小売業者のスマートフォンに対するスタンスは大きく異なります。
今回はこのような視点で日米の小売業者になぜスタンスの差ができているのかを深堀りしたいと思います。
📣この記事でわかること
米国のリテールメディアのスマートフォン(アプリ)に対するスタンス
日本の小売業者のスマートフォンに対するスタンス
日米のスタンスの違い
なぜこのようなスタンスの差が生まれるのか
まとめ
それでは本編スタートです。
米国のリテールメディアのスマートフォン(アプリ)に対するスタンス
米国のリテールメディアを運営している代表的な例として Walmart や Kroger などのアプリは、共通して「ネット注文」「店舗受け取り・宅配」「デジタルクーポン」「モバイル決済」「リワード・ポイント管理」など、多岐にわたる機能を備えています。消費者はアプリを使うことで店舗へ行く手間を減らしたり、スムーズに決済したり、日用品や食料品をお得に買い物できるように工夫されています。
代表的な機能は、
オンラインショッピング・商品検索
日用品や食料品、電化製品、衣料品など幅広いカテゴリの商品を検索・購入できます
店舗在庫の確認や、バーコードスキャンを使った商品の詳細情報の閲覧などにも対応しています
Pickup(店舗受け取り)& Delivery(宅配)
アプリから注文した商品を、指定した店舗のドライブスルーやカウンターで受け取ることができます
エリアによっては自宅配送にも対応しており、まとめて購入した商品を自宅まで届けてもらえます
Walmart、Croger Payなどによる支払い
アプリから「Walmart Pay」や「Croger Pay」を使って、店舗での支払いをスムーズに行うことができます
店舗での支払いに必要なカードやポイントなどをアプリに登録しておけば、レジでQRコードをスキャンするだけで決済が完了します
デジタルクーポン・セール・割引情報
アプリ内でクーポンやセール情報を簡単にチェックできます
クリアランスセールや期間限定の特典など、最新の割引情報を入手できます
注文履歴・リピートオーダー
過去の購入履歴を参照できるため、同じ商品を繰り返し注文したいときに便利です
配送状況の追跡やサポートへの問い合わせもアプリから簡単に行えます
買い物リストの作成・共有
その他のサービス
サブスクリプション「Walmart+」会員向けの配送料無料や、特定店舗での早期アクセスなどの特典
一部地域では処方箋管理・薬の受け取りができる「Pharmacy(薬局)」機能も備えています
Loyaltyプログラムの活用
Krogerのリワードカードと連携し、ポイントを貯めたり、燃料割引などの特典を受けられます
アプリからポイント残高や特典を簡単に確認することができます
Pharmacy(薬局)サービス
処方箋の確認やリフィル注文、受け取り予約などがアプリで完結できます
薬の受け取りタイミングを教えてくれたり、処方箋の引き取りリマインダーを受け取ることも可能です
日本でもリテールメディアが進んでいると言われている業態の一つ、ドラッグストアも見てみましょう。
米国大手ドラッグストアのひとつCVSのアプリで見ていきます。CVSはアプリを通じて、処方薬の管理やワクチン接種予約といった「薬局サービス」を中心に、オンラインでの買い物・クーポン配布・ポイントサービスを一元的に利用できる点が大きな特徴です。米国ではCVS以外にもWalgreensなどのドラッグストアが同様の機能を提供しており、「薬局+コンビニ的な機能」をアプリからサポートすることで、ユーザーにとっての利便性が高く評価されています。「薬局+コンビニ」は日本の大手ドラッグストアも同様の動きに見えますね。
できることは下記です。
処方箋管理(Prescription Management)
薬の受け取り予約やリフィル(再度の処方)、処方箋のステータス確認などをアプリ内で簡単に行えます
同じ処方箋を定期的に利用する場合はリフィル通知を設定しておくことで、飲み忘れや受け取り忘れを防げます
デジタルクーポン・割引
CVSの会員プログラム「ExtraCare」に登録しておくと、デジタルクーポンやエクストラポイントがアプリに自動的に反映され、支払い時に利用できます
定期的に送られてくる割引クーポンや「Buy 1 Get 1 Free」などのプロモーション情報をアプリから確認できます
店舗受け取り(Pickup)・宅配(Delivery)
CVS内に設置された店舗受け取りカウンターで、あらかじめオンライン注文した商品を受け取れます
処方薬の宅配や通常商品を含むデリバリーにも対応している地域があり、アプリやウェブから注文して自宅やオフィスまで届けてもらうことが可能です
ワクチン接種予約・健康管理機能
インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンなどの接種予約をアプリから手軽に行えます
ワクチン接種のスケジュール管理や接種履歴の確認ができるほか、健康にまつわるヒントや特典も配信されることがあります
ExtraCare(ロイヤルティ)プログラム連携
CVSのロイヤルティプログラム「ExtraCare」をアプリと連携しておくと、買い物のたびにポイントや報酬を獲得できます
アプリでポイント残高をチェックしたり、ポイントを使って商品を割引購入したりすることができます
メンバーシップの有料オプション「CarePass」に加入すると、宅配無料や毎月のクレジットなど、追加特典を受け取ることができます
モバイル決済・クレジットカード管理
一部店舗では、アプリに登録したクレジットカードやデビットカード、PayPalなどを使ってスマホで支払いが可能です
店頭でQRコードをスキャンするか、バーコードを見せて支払いを完了する仕組みを採用している場合もあります
こうみてみると、Walmart も Kroger も CVS もアプリを使わない理由がないぐらい便利ですよね。買い物等はオンラインで完結しますし、ピックアップもできる。オンとオフラインの垣根を柔軟に繋いでいる印象です。
一方、日本の大手スーパー、コンビニのアプリはどうでしょう?
日本の小売業者のスマートフォンに対するスタンス
基本的に日本の大手スーパー、コンビニはまず、アプリでオンラインでの買い物ができません。なのでPic & Deliveryにも対応できていないです。
決済についてはWaonやSeven Payなどがあるので決済は米国同様可能なのですが、オンライン決済用というよりは物理的に支払うことがほとんどのように思います。物理的にというのは後述しますが実店舗、レジでの支払い時に使用するということです。これら各小売業者のペイメントサービスを使うことで消費者が得られることは米国同様に支払時に割引を受けたり、クーポンを併用したり、ポイントを使う・貯まるという点です。特にポイントについては日本は独自の発展をしておりポイントという概念がかなり普及しているため、これが消費者の囲い込み、ロイヤリティープログラムの一貫につながっています。
日米のスタンスの違い
日本の大手スーパーやドラッグストアは、実店舗に誘導するためのクーポン・ポイント施策をアプリの中心機能として掲げているケースが多いですよね。一方で、米国のWalmartやKrogerは「オンライン注文/宅配」「ピックアップ」「モバイル決済」など、アプリを通じた購買体験の幅を積極的に拡張しており、これが両国のアプリ戦略の大きな違いといえます。
今後、日本でもネットスーパーやモバイル決済がさらに普及すれば、アプリが「クーポン配信」だけでなく、「オンライン注文 → 店舗受け取り(あるいは宅配)」など、実店舗(オフライン)とオンラインを行き来できるような使い勝手を備える可能性は十分にあると思いますが、ネットスーパーも大手は撤退したりしているところもあり簡単では無さそうです。また、配送コストや地域特性、店舗数の多さなど、日本独自の事情が大きいため、米国のように一気に浸透するかは企業の戦略次第といえるでしょう。
なぜこのようなスタンスの差が生まれるのか
アメリカのドラッグストアアプリ(CVSやWalgreensなど)やスーパーマーケットアプリ(Walmart、Krogerなど)は「ネット注文/宅配」「ドライブスルーでのPickup」「薬局機能のデジタル化(ワクチン予約・処方箋管理)」などが非常に充実しています。日本でもイオンのネットスーパーやウェルシア、マツキヨなどのドラッグストア各社がアプリ機能を拡充しつつありますが、以下のような背景から、アプリの作りや使われ方が大きく異なっていると考えられます。
地域密着型 vs. 広域モデル
米国: 国土が広大なため、遠方からの買い物や高齢者・車のない層のサポートとして宅配やPickupサービスへの需要が高いです。自宅やオフィス周辺に店舗がなくてもオンライン注文で済むことが大きなメリットになります
日本: 駅前や住宅街の至る所にスーパーやドラッグストア、コンビニが存在するため、実店舗で買い物しやすいのが大前提です。この環境では「わざわざ宅配で注文しなくても、近くの店舗へ歩いて行ける」というケースが多く、アプリの設計もどうしても「来店誘導」や「ポイント管理」に偏りがちです
医療保険制度・処方箋管理の違い
米国: 処方薬のコストや保険申請手続きが複雑で、ドラッグストアチェーンが患者や保険会社との仲介役を担うケースが多いです。そのため「処方箋の更新」「薬の在庫や受け取り状況の管理」「保険プランとの連携」といった機能が、アプリの重要な柱になります。
日本: 病院やクリニックで処方箋をもらい、調剤薬局で受け取る流れが一般的です。調剤薬局とドラッグストアが併設されていても、米国ほどアプリ上で一括管理する体制は少ないです。最近はオンライン診療や処方箋送信サービスが増えていますが、制度・規制面のハードルもあり、まだ普及途上といえます。
決済習慣・キャッシュレス化の進捗度
米国: クレジットカードやデビットカードの利用率が高く、「モバイル決済でカードをまとめる」仕組みが受け入れられやすい土壌があります。さらにPayPalなどのオンライン決済との連動も盛んです
日本: スマホ決済や電子マネー利用者は近年急増していますが、依然として店舗での現金払いも多く、「買い物の流れすべてをアプリに集約しよう」という動機が弱い部分があります。モバイル決済が進んでいる業種・店舗であっても、クーポン発行やポイント連携のほうがメイン機能になりがちです
〆まとめ
日本の大手スーパーやドラッグストアは、全国(特に大都市界隈では)多数の店舗を狭い商圏に非常にきめ細やかに展開しているため、既に「生活圏内で便利に使える実店舗」という強みがあります。そのため、アプリを使ってネット通販へ誘導するよりも、「クーポンやポイント配布で店舗へ訪れてもらう → ついで買い(関連商品や新商品など)を促す」ほうが売上に直結しやすいという考え方があるのかもしれません。そういう意味で、オンラインでの売上に力をいれるタイミングを逸しており、さらに日本では欧米ほど広大なエリアをカバーする必要がない一方、人口密度が高く、地域ごとにサービスの競合が多いという事もあります。他にも配送コストを抑えることが難しかったり、ネットスーパーを利用する層がまだ限定的であったりと、オンライン注文・配送がビジネスとしてスケールしにくい面があります。また、スーパーやドラッグストアがネットスーパーを展開していても、利用者がまだそこまで多くないため、主力施策として打ち出しにくい側面もあります。
根本的にはオンラインショッピングが発展しないためアプリの目的が「会員証+クーポン」に集中しがちです。従来のポイントカード文化が根強く、デジタル化した現在でも「アプリ=デジタル会員証+クーポン配布」という立ち位置になりやすいです。そうした目的を中心に開発するため、アプリでの本格的なEC機能やモバイル決済機能よりも、まずは実店舗で使えるクーポン・ポイント特典の配信を重視する形になるのでしょう。
イオングループが展開する「イオンネットスーパー」や、イトーヨーカドーの「ネットスーパー」(撤退のようですが)、あるいは一部のドラッグストアチェーンでは、アプリから注文~受け取りが完結するサービスも始まっています。しかし米国ほどPickup(ドライブスルー受け取り)やデジタルでの購買データ活用(パーソナライズされたレコメンドなど)が進んでいないのが現状です。近年はコロナ禍の影響もあり、キャッシュレスやオンライン接客が注目されましたが、日本ではまだ「実店舗とアプリの連携を段階的に強化している」段階といえますし、このままずっと変わらずになるのかもしれません。
いかがでしたか? Poll も使ってねw
結論的には、マーケットの違いに尽きますのでどっちがいいとかはないのですが、リテールメディアという視点で考えるとまだまだ日本がやれることはあるように思いますし、ガラパゴスではなく標準化された上での独自性が出るといいなと思う次第です。
🖊編集後記
メリークリスマス♪クリスマスですね。みなさんはどなたと一緒に過ごしますか?家族、友人いろいろあると思いますが、せっかくの季節ごとのイベントなのでそれなりに楽しく過ごせるとよいですよね。今年は毎年恒例のももクリにいくはずが、突然のfluに見舞われ断念を余儀なくされました。。。悲
それではまた次回。
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