ExchangeWireの記事からお伝えしたいこと (中編)
先日 ExchangeWire さんでインタビュー頂いた記事がリリースされましたので、今回から数回にわたってこちらでもお伝え致します。今回はその中編です。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
先日、2024 年 4 月 8 日に ExchangeWire さんでインタビュー記事1 がリリースされました。普段、RMO では意識的に廣瀬が所属している企業名やプロダクトについては積極的に触れないようにしておりますが、所属している会社 (米国) の考えと、廣瀬個人の思いも含めて記事に反映させていただいたので、その記事でお伝えしたかったことを RMO でも触れさせていただきます。本社の社内レビューももちろん受けているので、所属企業の考えと私の考えも一致していることも合わせてお伝え致します。今回は中編です。ちなみに前編はコチラ。
📣この記事でわかること
現在の日本のリテールメディア
日本のマーケットで米国のようなリテールメディアは実現できるのか
1 番の懸念は購買データ
リテールメディアは誰が為もの?
それでは本編スタートです。
現在の日本のリテールメディア
日本では、低 EC 化率を背景にオウンドメディアの規模が小さく、どうしてもオンサイト配信での機会が弱くなってしまうことは誰もが認識していることですが、ゼロというわけではありません。オンサイト配信のメインは「スポンサードプロダクトリスティング (SPL)」という検索連動型広告と、通常よく見るバナー広告「オンサイトディスプレイ」が米国では主です。これらでリテールメディアの 70-80% を占めるといわれています。概念的には実店舗を持つ小売業者は実店舗でのサイネージも含めてオンサイト配信となります。理想的にはひとつのキャンペーンでオウンドメディアのオンライン (EC) とオフライン (実店舗) をクロスオーバーしクローズドループ測定をしてどこで表示された広告が購買に至ったのかを追跡する形です。実際米国の RMN はこれを実践しているからこそ、サードウェーブになっているといっても過言ではありません。
日本では、2024 年問題にも直結しているほどオンラインショッピングが定着しているにも関わらず、未だ消費者の買い物の多くは実店舗からの売上に依るものであり (これは米国でも同じですが、EC との相対的なバランス上)、日本のリテールメディア文脈は実店舗への誘導、実店舗でのタッチポイントの増加にフォーカスしています。例えば、アプリは位置情報やクーポン等を使って、実店舗内では複数のモニターを配置し、またレジやカートをサイネージ化して商品のアピールを実施できる場を設けています。これらはオンサイト配信に含まれますので日本でもオンサイト配信がゼロというわけではないのです。そしてこれらは米国でも当然行われておりますが、私が今年、米国のサンディエゴを訪れた際にドラッグストア大手の CVS や Walmart などのトップの RMN を展開している実店舗にはサイネージはなんとゼロでした。一瞬サンディエゴが田舎なのかと思いましたがそうではありません。このように米国でも実店舗での広告配信等はまだこれからの状況なのです。普通に考えてもこれらは配信デバイスの開発等の初期投資がかかり、また効果などの計測もどのようにレポーティングにつなげるかなど新しいことばかりです。米国はオンサイト配信で多くの売上をあげ、次のターゲットはオフサイト配信です。これらは従来実施してきたインターネットのアセット(バナー、動画、ネイティブなどの広告フォーマットで、DeskTop (LapTop)、スマートフォン、CTVなどの複数デバイスに配信に自社の購買データを紐づけてターゲティングしている)で実施できるのでコストもかからず、ROI も見えるため広告主の投資判断もクリアです。もちろん Walmart や Amazon を筆頭に Top of Top の RMN は次元の違う世界(CTV を販売している会社を買収したり、大手ストリーミング会社と提携したりなど)へ進もうとしています。
いちばんの大きな差は、アプリです。Walmart のアプリを使っているユーザー数をご存知ですか?なんと 1 億 2,000 万ユーザーです。日本の人口とほぼ同じ規模のユーザーがひとつのスーパーマーケットのアプリを使って買い物をしているのです。そうです、買い物をしているのです。2 回繰り返しましたのは、ユーザー規模だけでなくその利用シーンが日本と全くもって異なるからです。
米国の小売業者のアプリ → EC のメインフィールド (買い物している) → アプリから売上あげている → プロフィットセンター
日本の小売業者のアプリ→ 実店舗への集客、情報共有 → アプリで値引き(ポイント、クーポン配布)している → コストセンター
コストセンターとプロフィットセンターぐらいの違いはもはやビジネスモデルの違いにつながるぐらい大きい話です。米国は全てが Walmart のようにアプリの規模が大きいわけではもちろんないですし、クーポンも配布してはいますが、その行為自体がアプリの目的、役割というわけではありません。買い物の場になっています。
もちろんこれは良い悪いの話ではなく、ファクトというところです。
日本のマーケットで米国のようなリテールメディアは実現できるのか
日本の小売業者自身が広告ビジネスを自ら立ち上げという点では未だアーリーフェーズであるものの、大手のコンビニエンスストア、ネットスーパー、ドラッグストアが先陣を切っています。この流れは米国のようなリテールメディアを実践していくには非常に良い流れであり、是非結果を出してほしいと思っています。RMO でも伝えていきたいです。
このような流れを更に加速するために、そして大手スーパーマーケットやドラッグストアだけでなく、小売業でも異なる業種、ニッチでバーティカルな業種、都市部だけでなく地方、などもトライできると思いますし、米国ではリテールメディアはコマースメディアに内包される概念となっており、小売業以外の購買データを持った業種であればリテールメディアのモデルを横展開してコマースメディアを実施することが可能です。こういった意味では裾野が拡がる領域だと廣瀬は認識しています。
とどのつまり、日本で米国のリテールメディアが実現できるかが、廣瀬及び PubMatic が切り開いていかなくてはならない「道」なのですが、認識している主なハードルは下記です。
小売業者自社アセットの把握(オウンドメディア、購買データ、取引先)
広告ビジネスの理解
購買データの管理(自社データの整理、広告用にオーディエンスセグメントを使える状態にする)
広告ビジネスと既存小売事業との相乗効果の理解(RMNを立ち上げることによるインパクトは?広告ビジネスを既存収益の何割まであげていけるか)
自社リソースとアウトソースの切り分け(データは誰が?オーディエンスセグメントは誰が?広告セールスは誰が?運用は誰が?レポーティングは誰が?プラットフォームは内製?JBPは誰が?・・・)
広告プラットフォームの導入
広告ビジネス開始
このように、PubMatic の広告プラットフォーム CONVERT などを導入検討いただくのは結構後工程で、それより前に大きな検討・判断が控えているのです。このあたりから本来は入っていかなくては実現に至るのは難しい気がしています。
その後はじめて、広告ビジネスとしてのハードルなどがでてくると思います。
1 番の懸念は購買データ
リテールメディア/コマースメディアで、なにはなくてもというのは、購買データです。購買データとクローズドループレポートで ROI を出すパフォーマンスメディアがリテールメディアなので、このコアとなる部分がないと米国のリテールメディアの文脈からズレます。ここを実現するためには購買データの質、ボリュームが求められることは必然で、日本の小売業者はココでつまづいてしまうことが非常に懸念です。
正直、私もこの部分に的確な解を持っていないのが今後のミッションと考えていますが、米国の小売業者も最初から大量の購買データを持っていたわけではなく、RMN の立ち上げ以降、大幅に購買データを増やしています。この部分はひとつ大きなテーマかなと思っているので、RMO でも伝えていきます。キーはロイヤリティープログラムだとは思っていますが。
リテールメディアは誰が為もの?
当然、小売業者が主体だと思います。小売事業者が自社の購買データの価値を知り、広告ビジネスの高い収益性に目をつけ、自ら広告ビジネスを起こした結果が RMN です。三方よしといわれるリテールメディアですが、これを本流とすれば自ずと広告主でも消費者でもない小売業者が主体です。そしてこれは我々、PubMatic から見るとパブリッシャーであるメディア事業者が、自社のファーストパーティーデータをセグメントし、自社セールスチームが広告主を獲得し、DSP を使って自社のオウンドメディア + 外部メディアを買付してパフォーマンスを広告主に還元する、パブリッシャーが代理店化する Publisher Trading Desk (PTD) と同じモデルなのです。PubMatic は創業以来パブリッシャーの広告収益かをサポートしてきており、CONVERT は DSP のような買付機能と、オウンドメディア、外部メディアをマネージする SSP 機能、そして購買データを接続管理する機能の 3 つ、そしてそれらをクローズドループレポートする機能を内包したワンプラットフォームです。これは小売業者が CONVERT を導入すれば上記の機能を一気に導入できるため前述の広告プラットフォームを導入検討する際には、有用な候補となると思います。
〆まとめ
いかがでしたか?
やっぱり、前後半の 2 回では無理でした。。。できるだけ次の後編で収めるべく今回を中編にしましたw PubMatic はコア事業がパブリッシャーの広告収益化をサポートするプラットフォームである SSP なので、リテールメディアでいえば小売業者をサポートするに 1 番近い存在にならなくてはと考えていますのと、現在のパブリッシャーが複数の SSP を採用してしまう状況に幸いなっていないこともあり、この部分は我々だけでは難しいでしょうが、ミスリードしないようにせねばとも考えています。
🖊編集後記
前回、アライが熱い!と話しましたがアライはオナラ (食事中の方スミマセン) と相性が悪いみたいです。摂取した脂肪の元となるオイルをそのまま排泄するからです。アレは油断ならないですよ!廣瀬は以前、大腸検査の指示により「ヒマシ油」なるものを検査前日に飲みましたが、なんと翌日漏らしてもたー (恥。こんなの人生の記憶になかったので結構ショックでした。奥さんに言うべきか、しれっと自分で洗うか、、など漏らさなければ考えもしないことを考えることになりました(食事中の方スミマセン!x2)これと同じなので、アライの摂取を考えている方はご注意を!ちなみに廣瀬は腸活で複数の乳酸菌等を摂取しており、オナラが大量にでるようになったのでコワイです。が、トライようと思います!
それではまた次回。
今回の記事はいかがでしたか?
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