新興のリテールメディアは、どうすれば米国のようなリテールメディアになれるのか
Amazon の Flywheel を参照に新興のリテールメディアは、どうしたら米国のリテールメディアに近づけるようになるのか考察します。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
米国のリテールメディアマーケットの 75% を占める Amazon の Flywheel を見たことのある人は多いと思います。
この Flywheel が、最新最高のリテールメディアの姿と言っても過言ではありません。しかし Amazon もココに至るまでにかなりの時間と戦略を要しています。以前の Amazon はご存知の通り、最強の e コマースではありましたが決して、メディアや広告で最強だったわけではありません。メディアでは Meta を代表とするソーシャルメディアがあり、広告では巨人 Google の後塵を拝していました。しかし、現在この組み合わせがサードウェーブとなり、検索広告の Google、ソーシャル広告の Meta と比べ、コマース + メディア + 広告の組み合わせでポートフォリオが組まれており、逆に Google, Meta などが片手落ちのポートフォリオに見えてくるぐらいです。
現在、日本の小売業者、コマース事業者がAmazonやそれにがっぷり四つで立ち向かおうとしているようにみえる Walmart に追いくには非常に難しい状況ですが、ラッキーなこともあります。それは彼らがしてきた戦略やプランなどを見て真似ることができ、近づくための見本があることです。今回はこの
📣この記事でわかること
Amazon の Flywheel
新興のリテールメディアは Amazon の何を真似たらよいのか
Walmart の Flywheel
新興のリテールメディアができること
それでは本編スタートです。
Amazon の Flywheel
まず、Flywheel(フライホイール) を考える時は、大きな歯車がいくつか噛み合っているイメージをしてみてください。この Amazon を例にとると、大きな 3 つの歯車 (コマース、メディア、広告)が噛み合っているような歯車です。当然噛み合っているのでひとつの歯車が動こうとしても重くてなかなか全体は動きません。Amazon の場合当然コマースが出自なので、Amazon.com だけでビジネスが回っていましたが、ここから Prime Video を立ち上げ、そこにAmazon Adsの両輪をコマースビジネスに追加しました。当然これらひとつひとつの歯車は重く、なかなか回らなかったでしょうが今はスムーズに噛み合い、コマースだけの歯車だった頃と比較し、莫大な収益を稼ぎ出しています。このように一度うまく回り始めれば、中長期的にビジネスに影響し、高収益をもたらすサイクル、ループがフライホイールです。当然、Amazon のフライホイールはこれで完結であるはずはなく、最近サブスクなども始めた生鮮食料品の Amazon Fresh など引き続きブラッシュアップされ、フライホイールは更に大きくなっていくことでしょう。
新興のリテールメディアは Amazon の何を真似たらよいのか
下記に 5 つ挙げてみます。
まず注目すべきは、前述の Amazon のフライホイールの中心にある「Amazon Prime」です。そう。まずリテールメディアが着手すべきなのは、最高級のロイヤリティプログラムを開発して強化し続けることです。
そして、ロイヤリティープログラムを活用し、できるだけ多くの取引を作り出す。
Amazon の広告ビジネスのように、ブランドやメーカーの広告主間の競争力を作り出す。
デジタルメディア、ストリーミング TV、プログラマティックチャネルにわたるプレミアムインベントリの一流のプロバイダー/ベンダーとの提携、買収を推し進める。
広告事業収益の一部を再投資してフライホイールを大きくし続ける。
この Amazon のフライホイールを完璧に実行しているのが、Walmart です。
Walmart の Flywheel
Walmart は米国最大のスーパーマーケットであり、Amazon に次ぐ第二位のリテールメディアネットワークである、Walmart Connect を持っています。最近の報告で、Walmart は米国内のリテールメディア広告収益を 39.1% 増やして、約 31 億 6000 万ドルに達する見込みであると述べています。Amazon のリテールメディアが 339.5 億ドルと推測されるので、ウォールマートの売上はリテールメディア第二位といえど、 Amazon のリテールメディア売上の約 10倍 の開きがまだあります。とはいえ、Walmart はかなり積極的な投資をリテールメディア関連にし続けています。
Walmart の Flywheel の基盤は、Amazon Prime と同様にロイヤリティープログラムである、Walmart + (プラス)です。Walmart の買い物客に店頭とオンラインの特典を組み合わせた会員プログラムで、2020 年に開始されました。メンバーシップ料金は年間 98 ドル、または月額 12.95 ドルです。会員に販売促進、セール、新ゲーム等のリリースへの早期アクセスに加え、提携先のガソリンスタンドでの燃料割引等を提供しています。さらに、手数料無料の宅配サービスを利用して食料品のショッピング分野にも参入しています。Walmart は Walmart + 会員の購買データを自社の顧客データとして変換しながら、データのボリューム、質をブラッシュアップしてきました。
そしてこのファーストパーティーデータを使用して、プログラマティックディスプレイ広告、ビデオ広告、CTV 広告の広告サービスを広告主に提供するため、The Trade Desk (DSP) との提携により、独自のプラットフォームを構築しました。PACVUE のデータによると、より目に見える転換点は、2022 年の上半期に Walmart Connect が中核となる広告サービスを改善し、セカンドプライスオークションを導入し、マーケットプレイス販売者の競争条件を平等にするために検索アルゴリズムを改良し、ほぼ即座にクリック単価 (CPC) が下がり、ROAS が上昇し、ブランドはプラットフォームに対する信頼性を高めることにつながり、Walmart の広告ビジネスが軌道に乗りました。
このことによって、Walmart Connect の ROAS は RM 大手の Amazon, Instacart を上回っています。
さらに、メディア面では、プレミアムコンテンツパートナーとして、NBC Universal、Roku、TikTok を追加し、先日の VIZIO の買収も含め、フライホイールの 3 番目の重要な柱を固めました。
さらに先日ご紹介した、Shoppable TV など Amazon を追いつけ追い越せとリテールメディアのイノベーションを続けています。
新興のリテールメディアができること
Walmart 自身も独自の Walled Garden へ向かっているのは明らかです。一方で、次世代のリテールメディアネットワーク (RMN) を構築するための道しるべになってもいます。
大きなマーケットプレイスを持たない RMN は、規模を大きくするためにサイト外広告(オフサイト配信)や店舗内広告への依存度が高くなります。強力なロイヤルティ プログラムが不足している企業は、より多くの消費者に登録してもらう必要があります。そしてより価値の高い在庫をラインナップとして揃えるには、プレミアムなメディアとパートナーシップを締結する必要があるでしょう。
大きな動きとして、RMN は、デジタルパブリッシャー(プレミアムメディア)を買収することで、顧客獲得コストを削減しながらキャンペーンの効果を最大化する、規模の大きなオーディエンスやコンテキストに応じた関連性の高いコンテンツに広告を配信することもできるようになります。
例えば、食料品チェーン + レシピ サイト、ドラッグストア + 健康情報サイト、ホームセンター + ハウツーサイト、デパート + ファッション サイト、スポーツ用品小売店 + スポーツニュースサイトなど、考えられる組み合わせを想像するのは難しくありません。
〆まとめ
いかがでしたか?
個人的な感覚かもしれませんが、日本の小売業者はポイント等の割引関係は積極的ですが、それは顧客のロイヤリティー化に使っているというよりは、どうもどこかの国のバラマキ政策に似た、シーズンや短期的な施策で特に使われているように感じます。またマーケットプレイスのプラットフォーム全体もそのマーケットプレイス全体に対するロイヤリティーを上げる為の施策がそこまで表立っていないように思います。Amazon Prime を日本の楽天に例えるとどうでしょう?よく楽天経済圏など言われますが、これはポイント経済圏であって、いかにポイントを貰えるようにその経済圏と関わっていくか?という視点で、やはりロイヤリティープログラムではない気がします。Amazon Point 経済圏とかあまり聞かないですし、そもそもさほど Amazon point は楽天ほど貯まらない気がします。Amazon Primeは、当たり前ですがユーザーが会費を払うこと決断して、その恩恵を受け続け、それに満足して継続してその会費を支払い続けるサイクルが基本だと思うので、楽天や他の日本企業でこのような形で成功しているのは、あまり目の当たりにしていません。
🖊編集後記
それではまた次回。
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