米国の大手 CPG がリテールメディアの精査をした時の観点について
今回はデマンドサイドの視点から。Georgia Pacificという大手消費財メーカーのリテールメディア戦略について触れていきます。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
今回は広告主側、デマンドサイドの視点からの記事です。米国の紙パルプ会社大手のGeorgia Pacific(ジョージアパシフィック)が約 40 のリテールメディアを精査し、最終的に 7 つのリテールメディアに絞り込んだという記事1がありましたので、その観点、考え方、方法などについて見ていきたいと思います。
📣この記事でわかること
ジョージアパシフィック とは
ジョージアパシフィックはリテールメディアとの取引数を 25 社から 7 社に絞った
ジョージアパシフィックはどのような観点でRMN を精査したのか
RMN 精査の過程での学び
この精査方法は他の広告主にも当てはまるのか
それでは本編スタートです。
ジョージアパシフィックとは
ジョージアパシフィックは、ジョージア州アトランタに本拠を置くアメリカの紙パルプ会社で、ティッシュ、パルプ、紙、トイレットペーパーおよびペーパータオルのディスペンサー、包装、建築製品および関連化学薬品の世界最大の製造販売業者のひとつです。
ジョージアパシフィックはリテールメディアとの取引数を 25 社から 7 社に絞った
以前、別記事で RMN の淘汰が始まっているという記事を書きましたが、その時既に 150 を超える RMNが存在し、新しい RMN が過剰に存在する中で、どの RMN に投資する価値があるかを判断することは、マーケターにとって課題になっていると書きました。
この大手消費財メーカー (CPG) は 40 を超えるリテールメディアを精査し、25 のリテールメディアをテストしたそうです。
最終的に RMN への支出の 90% を Amazon Advertising、Walmart Connect、Kroger Precision Marketing など 7 つの RMN に統合しました。 残りの 10% は、新しい RMN または機能が進化した RMN への追加テストに充てられます。ジョージアパシフィックのデジタルマーケティングディレクターは下記のように言っています。
2020年末時点で、私たちが精査していた RMN は一度に40近くありました。なぜなら、振り向くたびに、『さあ、一緒に仕事を始めましょう』と言っている別のネットワークが見つかるからです。
私たちは約 2 年間、さまざまな RMN を通じてテストを行い、学習し、誰と協力したいのかを検討しました。
4 年前の時点ですでに 40 を超える RMN があり、精査を始めていたんですね。まさに勃興期だったのかもしれません。
クッキーレス時代を迎えるのあたり、彼らは、ジョージアパシフィックに何が必要なのか、自社のブランドにとって何が機能し、何が機能しないのかをすでに理解しているから精査ができるわけですね。同時に、同社の社内プログラマティックチームは現在、Cookie を使用せずに運用しているそうです。
ジョージアパシフィックはどのような観点でRMN を精査したのか
この CPG 大手であるジョージアパシフィックは現在 20% 以上の広告費を RMN に拠出しています。さまざまな RMN を精査するために、テストと学習の期間中、下記のことに焦点を当てて精査しました。
RMNとグローバル規模のメディアネットワークの CPM
提供する機能
データの質
透明性
インクリメンタリティ
これらの要素を使ってジョージアパシフィックは各 RMN を比較検討し、上位の RMN に統合し費用を投じました。
RMN 精査の過程での学び
データの質が各 RMN で同じではないということ
RMN からのデータの透明性が鍵であること
キャンペーン測定のレベルは千差万別であること
ある RMN はファーストパーティデータを持っていると言いましたが、彼らが我々に対して有効化するために常にファーストパーティデータを提供していたわけではありませんでした。
コストを削減するために、サードパーティデータなどの追加のデータソースを重ね合わせているところもありました。
現在、(RMN 全体で) インクリメンタリティ (増分性) を検討するための決まった形式や方法論もありません。
この精査方法は他の広告主にも当てはまるのか
ジョージアパシフィックのアプローチは、巨大な CPG 企業 (多数のブランド、多数の商品群を持つ) にとっては理にかなっているかもしれませんが、RMN を今試そうとしている小規模ブランドには当てはまらないかもしれません。
同社はRMN とクッキーレスに関するこの積極的な戦略に適した製品群と流通戦略を持っていました。しかし、このアプローチが他の企業のマーケターにとってどの程度一般的なのか?という意味では異なりそうです。
そもそも、ファーストパーティデータを収集するための企業側努力は限定されてしまうことが多く、誰もが ”彼らの製品だけ” をお目当てに買い物をしているわけではありません。例えば、ペーパータオルだけを購入するためにペーパータオルブランドに直接行く人はいません。
ただ、e コマースへのシフトとリテールメディアの誕生は、このようなブランドがデジタルの世界でどのように振る舞うことができるかということに関して、まさにゴールデンゲートになっています。
なぜなら、人々が実際にオンラインで製品をどのように購入するかについて可能な限り多くの知識を得ることができるからです。
Cookie が崩壊する中でさまざまな RMN をテストするというアプローチは、他のブランドが簡単に真似できないかもしれないかもしれません、それでも Cookie のない未来を考慮して戦略を変更する必要があるという認識は理にかなっています。
〆まとめ
いかがでしたか?
米国は 2020年には 40 を超える RMN と取引するような環境にあり、それらとの取引を維持することもコストがかかることも容易に想像できます。一方で大手 CPG 以外の小規模メーカー、ブランドが RMN を活用して自社の売上を伸ばす為に大手 CPG と同じ戦略をすることが難しいことにも同意です。日本ではそもそも、数十、数百の RMN はありませんし、これからというフェーズですのでちょっと想像つきづらいですが、これぐらい盛り上がるとリテールメディアがサードウェーブという実感が湧きそうです。
🖊編集後記
今日で 3 月も実質終わりですね。来週は 4 月、新年度が始まる方も多いでしょう。私は外資に身をおいているので第 1 四半期が終わりました。明日以降、本格的に春陽気ですし、桜も来ますね!この RMO も毎日ビジネスデイに発行していますが、3 ヶ月やってみて記事数も今回で 66 本になりました。88888~。1 クォーター終わったので、次回からは棚卸しというか感想めいたものなどを書こうかと思っています。
それではまた次回。
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