こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
今週月曜(2024 年 7 月 22 日)に Google が自社のウェブブラウザ Chrome からサードパーティの追跡クッキーを段階的に廃止する予定はなくなったと発表がありました。ギブアップです。代わりに、Google のプロダクト全体でユーザーにどのようにトラッキングされることを望むか、選択させる新しいアプローチをとるようです。
これにより、デマンド・サプライのアドテクベンダーの株価にも影響がでています。
📣この記事でわかること
Google プライバシーサンドボックス 担当VPの言葉
これまでの経緯
世界のサードパーティー Cookie 規制への対応
リテールメディアにどんな影響があるか?
それでは本編スタートです。
Google プライバシーサンドボックス 担当VPの言葉
Google Privacy Sandbox VPのAnthony Chavezは「A new path for Privacy Sandbox on the web(プライバシーサンドボックスウェブの新しい道」というタイトルでこう言っています。
(プライバシーサンドボックスは)パブリッシャーのエコシステムをサポートし、企業と顧客を結び付け、私たち全員が幅広いコンテンツに無料でアクセスできる広告サポート型インターネットを維持しながら、オンライン プライバシーを大幅に改善する革新的なソリューションを見つけることを目標に開発されました。
(しかし)このプロセスを通じて、英国の競争・市場庁 (CMA) や英国情報コミッショナー事務局 (ICO) などの規制当局、出版社、ウェブ開発者、標準化団体、市民社会、広告業界の関係者など、さまざまな関係者から(ネガティブな)フィードバックをいただいています。
プライバシーサンドボックスの普及が進むに連れ、パフォーマンスは機能する想定ですが、これには業界の多大な作業が必要であり、パブリッシャー、広告主、およびオンライン広告に関わるすべての人に影響を与えることを認識し、結果ユーザーの選択肢を高める新しいアプローチを提案していきます。サードパーティの Cookie を廃止するのではなく、ユーザーがウェブ閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行える新しいエクスペリエンスを Chrome に導入し、いつでもその選択を変更できるようにします。
一方、開発者にとってプライバシーを保護する代替手段を持つことが依然として重要になります。私たちはプライバシー サンドボックス API を引き続き提供し、プライバシーと実用性をさらに向上させるために投資していきます。また、追加のプライバシー コントロールも提供していく予定であり、 Chrome のシークレット モードにIP 保護を導入する予定です 。
これまでの経緯
Google は 2020 年に、2022 年までに Chrome でのサードパーティ Cookie のトラッキングサポートを廃止する計画を初めて発表しました。その後、同社は Cookie のサポート終了期限を 3 度にわたって延期しました。最後の延期では 2024 年 4月で、期限が 2025 年に延期されていました。その間、Google はサードパーティーCookieを置き換えるべく、FLoC, Topics などさまざまなアプローチを取ってきましたが、業界の理解を最後まで得られませんでした。
そもそも Cookie は小さなテキストファイルにログイン情報や過去の web の閲覧履歴を保存し、ブラウジングの閲覧体験の利便性を向上させるもので、我々も日常的に恩恵にあずかってきました。しかし、ログイン情報など個人情報となりえる情報も含まれている為、グローバルでは個人情報に抵触するという認識のもとプライバシー保護の流れの渦中にあり、Apple や Microsoft などウェブブラウザを提供している会社は既にサードパーティー Cookie の対応を早々にとりやめており、残すはブラウザ使用率最大手 (米国では 66%)の Google Chrome を残すのみとなっていました。しかし最大手かつ最後の砦となってしまったために、業界に与えるインパクトは図りしれないものでした。
世界のサードパーティー Cookie 規制への対応
2020 年の Google がサードパーティー Cookie 規制をする発表をして以降、世界のインターネット広告は、対応に追われました。広告主、広告代理店などのデマンドサイド、メディアのサプライサイド双方をクロスオーバーして対応を迫られてました。
Cookieレスソリューションとしては、Google のサンドボックス対応が期待されてはいたものの、前述のように業界の理解を得られず、具体的な進捗が見えない中、Cookie の代替となる ID ソリューションに注目が集まりました。ファーストパーティーデータをハッシュ化(匿名化)し、個人情報を特定出来ない形にする確定 ID と、元データがファーストパーティーデータではなく、複数の要素(ブラウザからの情報、デバイス、閲覧履歴など)から類推し、ハッシュ化した ID を使う類推 ID などです。確定 ID では TTD や Prebid org がサポートする Unfied ID 2.0 や LiveRamp ID などがグローバルでは活用が進んでいます。一方、ファーストパーティーデータを大量に保有している広告主、メディアなどは日本はもとより、世界でも多くは無いため、類推 ID ベンダーも多数存在し、合わせて 30 を超える ID ベンダーが存在しています。日本でも Unified ID, Ramp ID の導入は鋭意進んでいますが、前述の理由により手放しでうまく言っているとは言えない状況で、国産類推 ID である Intimate Merger の IM-UID が大きく普及している認識です。
これら以外にも、クリーンルームの活用:主に広告主のファーストパーティーデータとソーシャルメディアを中心としたメガプラットフォームの膨大なデータをクリーンルームでデータを突合する方法。
サプライサイド側はコンテキストターゲティングにも期待を寄せています。
リテールメディアへの影響は?
最後に、Google がサードパーティー Cookie の廃止を取りやめることによるリテールメディアへの影響はどうでしょう?
サードパーティー Cookie の廃止はファーストパーティーデータを主体とするリテールメディアにとって、明らかな追い風でした。
事実、サードパーティー Cookie が廃止されたときに最も価値あるソリューションとして、ID ソリューションを活用したファーストパーティーデータ及びPMPの活用が上がっており、これらはリテールメディアと直結します。
米国の広告主のターゲティング予算は、コンテキストデータとファーストパーティーデータに優先的に割り当てるといっています。
リテールメディアを運営する小売業者は、自社ウェブサイトの訪問、取引、顧客からのフィードバック、サブスクリプションから収集したファーストパーティ データを使用して正確なターゲティングをブランド(広告主)に提供できるため、ブランドはますます予算をリテールメディアネットワークにシフトしています。
今回の Google の決定によりサードパーティー Cookie は生き残り、当面 Web 広告のターゲティングに引き続き利用できるでしょう。これはこれでプログラマティック広告関連のプレイヤーや活用している広告主は、従来から使っている広告ソリューションが引き続き使えるという意味では安心材料だと思います。ですが、そもそもサードパーティー Cookie 自体がプライバシー保護の観点で問題アリと認識されている以上、Google による廃止がなくなっても全体トレンドは変わらないと認識すべきです。
今回の件で、ID ソリューションベンダーが厳しくなり、デマンドサプライ双方がCookieレスソリューションのテスト、導入に対してポーズしてしまうことが懸念されますが、リテールメディアという文脈では引き続きプライバシー保護されたファーストパーティーデータを基軸にオーディエンスデータの設計がなされるので影響はほぼ無いと思います。
それよりも、増えすぎた(増え続けている)RMNが収束に向かう方がいろいろな影響ががりそうです。
日本はまだ、何も始まっていませんが。
今回はここまでです。
〆まとめ
いかがでしたか? Poll も使ってねw
なんのかんので4年ですか。クッキーレスに対していろいろな立場で、いろいろやってきましたよね。最後は Google がぶん投げるということでいまのところ終止符を打つのかわかりませんが、業界通してかなりの時間とお金を投資してきたよなあと。そもそも、メガプラットフォーム(特定の企業)にブラウザを含めたインフラを抑えられてしまって、独禁法に発展したり、世界の広告収益の行方的にもいびつなところや、プライバシーなど国家的判断レベルのものが、企業レベルで握られてしまっていたりすることが、今回の顛末の一つ大きなファクターだと思います。
🖊編集後記
先日、串揚げ食べにいったんですが大阪流?というかストップ言うまで串が揚げ続けられる、季節の食材を衣にまとわせて食べる楽しい食事方法だなーと、好みのお店なのですがそこで、お母さんと一緒に来ていた小学生の高学年ぐらいの男の子が、あやとりしてたんですねー。なんか久しぶりにあやとりする人を見たというのと、今どきなんであやとりなんだろ?というのが気になって3日ぐらい経っていますw
それではまた次回。
今回の記事はいかがでしたか?
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