Instacart の何がすごいの？中小食料品店がリテールメディアを構築できる編
米国食料品テクノロジー企業の Instacart が凄いので今回から、シリーズでご紹介します。今回は第五回目です。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか？
第一回は、食料品配達大手の Instacart (インスタカート) の概要について、第二回はオンライン店舗と実店舗をつなぐコネクテッドストアについて、第三回は Instacart のメインであるパーソナルショッパーについて、第四回は Instacart が自社のリテールメディアで提供する広告、Instacart Ads について。第五回の今回はInstacart の取引先である小売業者自身がリテールメディアネットワーク (RMN) を構築できるソリューション、Carrot Ads 広告について触れていきます。
📣この記事でわかること
Carrot Ads とは
食料品店がリテールメディアネットワークを立ち上げる 3 つのステップ
Instacartで RMN を構築したSPROUTS
それでは本編スタートです。
Carrot Ads とは
リテールメディアネットワーク (RMN) を食料品店が構築できるソリューションです1。
さらっと言いましたが、これは非常にニーズはあるはずです。なぜなら大手小売業者よりも中小の小売業者の数の方が圧倒的に多いからです。米国では、地元のチェーン店から食料品業界最大手まで、あらゆる食料品店が RMN を活用し、収益の増加、将来的な事業拡大のためのスケーラビリティ、消費者へのパーソナライズされた広告といった競争上の優位性を競っています。RMN の核心は、小売業者が自社が持つデジタルスペース（オウンドメディア）をサードパーティの広告主に販売し、新たな収益源を生み出すことができる広告プラットフォームです。これにより、RMN を持つ食料品店は、CPG ブランドと提携し、消費者の買い物に寄り添う広告をデザインすることができる。その結果 RMN は、食料品店、ブランド、消費者に利益をもたらす強力な広告エコシステムとして存在感を増しています。
ただし通常、食料品店が RMN を構築することは簡単ではありません。広告インベントリー（広告在庫）の準備、広告配信システムの構築、自社の消費者のデータ管理と広告配信システムへのつなぎ込み、そして広告サーバーなどのインフラとサービス構築は広告ビジネスを専業としていない食料品店にはハードルが高いことは容易に想像がつきます。
Carrot Ads は、小規模から大規模の食品スーパーまで、RMN の確立と成長をサポートし、自社が所有・運営するウェブサイトやアプリで新たな収益源を獲得する為のRMN 構築の為のインフラ＋ソリューションです。食料品店は、Instacartのスポンサードプロダクトリスティングに加えてディスプレイ広告を提供できるようになり、自社のEコマースサイト (Web/アプリ) で CPG ブランドと消費者を結びつけ、新たな成長機会を生み出すことができるようになります。全米の CPG ブランドは、魅力的でターゲットを絞ったクリエイティブなバナーをを使って宣伝し、商品の認知度と検討度を高め、消費者の購買数、売上を増やすことができます。Carrot Adsはまた、食料品店と CPG ブランドにクローズドループの測定とインサイトへのアクセスを提供します。
食料品店が RMN を立ち上げる 3 ステップ
RMN を立ち上げる為の、3 つのステップをご紹介します。
Step : 1）情報収集
まず、データ、広告スペース、目標という 3 つの重要な要素を明確にすることで、RMN を強固なインフラ上に構築することができます。
データの収集と整理
各食料品店のファーストパーティデータは、消費者の購買意思決定とその要因を反映するものであり、最も強力な交渉ツールとなります。このデータには、消費者の購買履歴や広告のパフォーマンス分析が含まれ、広告の関連性を最大化するために極めて重要です。このデータを利用しやすい形式にまとめることで、広告主を貴社の店舗に引き寄せ、パーソナライズされた広告を開発するためのインサイトを提供し、最終的に消費者のエンゲージメントを促進することができます。広告スペースを特定する
広告スペースとは、各食料品店が実店舗やオンライン（オウンドメディア）で所有しているすべての広告面です。広告面には以下のようなものがあります。Eコマースやマーケットプレイスサイト
デジタルスポンサー商品とチラシ
店内ディスプレイ、バナー、エンドキャップ
テクノロジーで統合されたデジタルインストア広告
これらの広告スペースを数値化することで、特定のプレースメントが消費者にどのように響くかを理解し、その価値をサードパーティブランドに伝えることができます。RMN 構築の準備と並行して、さまざまな広告枠の棚卸しを検討します。
目標を明確にする
RMN の構築方法を学ぶ上で、そして成功には目標が欠かせません。品質保証のためにモニターできるサードパーティの広告を通じて、新たな収益がほしいのか、消費者の満足度を高めることに重点を置いているのか？スケーラビリティ（拡張性）は収益に貢献するのか？早い段階で目標を設定することで、ビジネスのニーズに合った RMN を構築することができます。
Step 2） 食料品店向けのRMN プラットフォームを特定する
食料品店のデータ、広告スペース、ゴールに関する情報を集めたら、次は RMN プラットフォームを選びます。
大手小売業者は、自社で RMN を開発するリソースを社内に持っていることが多いですが、中小の食料品店にはゼロから構築するインフラがないことが珍しくありません。しかし、このような立場の食料品店のために、広告主がすぐに参加できる RMN があります。このようなプラットフォームと提携することで、RMN の立ち上げ方を学んでいる食料品店の負担を大幅に軽減することができます。
RMN の立ち上げにあたっては数多くのプラットフォームから選択することができますが、プラットフォームを選択する前に当然ですがいろいろ調べてみることを大切ですが、利用可能な様々なプラットフォームを理解し、食料品店としてのニーズを満たす RMN を選ぶことができます。多くの RMN プラットフォームは、ファッション、旅行など、あらゆる小売業者向けに設計されています。
認定された広告パートナー
直感的なモニタリングツール
強力な広告キャンペーンを実施するための専任営業サポート
食料品 e コマースに特化した広告ネットワーク
プラットフォームを選択する際は、成果をだすために役立つ食料品店に合わせたオプションを検討しましょう。
Step 3）モニタリング機能を備えたプラットフォームを選ぶ
市場環境の変化が消費者の買い物に影響を与える場合、広告のパフォーマンスを実証する RMN プラットフォームを選択することが重要です。このようなインサイトがあれば、RMN は、消費者の行動や市場環境の変化に合わせて広告を調整する機動性を維持することができます。
広告の成果を最適化するには、直感的なモニタリング機能を備えた RMN の設定方法を知る必要があります。RMN のプラットフォームは、クリック数、インプレッション数、CPCなどのパフォーマンスレポートを得ることができます。多くの食料品店は、Instacart Ads や Carrot Ads のようなソリューションを使用して、キャンペーンを管理し、分析を追跡し、将来を見据えた戦略で時代を先取りしています。
Instacartで RMN を構築したSPROUTS
SPROUTS FARMERS MARKET は米国カリフォルニアにあるナチュラルスーパーマーケットで、LAだけでなくオレンジカウンティやサンディエゴにも店舗があることでサーファーにも人気です。1943 年にジューススタンドとしてスタート。その後、ファームから採れたての新鮮なヴェジタブルやフルーツを提供するスーパーマーケットに発展。1 号店はアリゾナ州のフェニックス。カリフォルニアには 128 店舗あるかなりメジャーなナチュラルスーパーマーケット。カリフォルニア産のフルーツ＆ヴェジタブルはじめ、積極的にローカルものを扱っています2。
2023 年 5 月 3 日、SPROUTS は Instacart の新しい RMN ソリューションであるキャロット広告を導入し、自社が所有および運営する Web サイトやアプリ上で RMN を確立しました3。ブランドは、Instacart の強力な広告ソリューションの力と SPROUTS の食料品ショッピングに対する健全なアプローチを組み合わせることで、ビジネスの目に見える成長を促進できるようになり、ブランドパートナーは初めて、Instacart 広告テクノロジーを活用した SPROUTS の e コマース体験のみで消費者に特定の広告キャンペーンをターゲティングすることができるようになります。そしてブランドは SPROUTS の e コマース体験に加え、 Instacart 広告でもキャンペーンのリーチを拡大できることができます。
小売業者が所有・運営するサイトでの広告ターゲティングを可能に
広告主は初めて、Carrot Adsを利用することで、SPROUTS の e コマース体験に特化した専用オンラインキャンペーンのターゲティングと最適化が可能になります。また、ブランドパートナーは、SPROUTS のキャンペーンから、アトリビューション売上高や広告費用対効果（ROAS）などの指標にアクセスできるようになり、キャンペーンパフォーマンスの全体像を把握できるようになります。
リーチと露出をシームレスに最大化
現在、ブランドパートナーは 1,100 以上の小売店のバナーで Instacart 広告キャンペーンを実施しています。ブランドパートナーは、Instacart 広告キャンペーンのリーチを拡大し、スプラウトの e コマース体験を含めることで、露出を最大化し、自社製品を購入する関連ユーザーを引き込むことができます。Instacart は、既存のクリエイティブ、ターゲティング、測定ツールを活用することで、複数の Carrot Ads 小売業者にわたるキャンペーン管理の複雑な運用を簡素化します。
新興ブランドに新たな機会を
SPROUTSは、革新的で体に良い商品を扱い、新興ブランドを積極的に棚に並べることで知られています。Carrot Ads を利用することで、新興ブランドは SPROUTS で買い物をする消費者に投資することができ、認知度を高め、オンラインで閲覧する際に試用を促すことができます。
〆まとめ
いかがでしたか？
Carrot Ads を知った時、最初に気になったことは、これは需要があるのはわかるものの、RMN として成り立つのか？ とどのつまり RMN を立ち上げた食料品店が Carrot Ads を使ってどれだけの収益を上げることができるのかが非常に気になりました。この場合、スケーラビリティの少ない小売業者のデータを使って広告が配信できるにプラス、従来の Instacart の RMN が不足分をフォローアップするというスタイルでしたね。これはこれで合理的で現実的な中小の小売業の RMN 化だと思いました。Instacart 自体は小売業者ではないので、食料品店をサポートするプラットフォームとしてストーリーのある展開だと思います。これが大手小売業の RMN 傘下に入るみたいな見え方だとうまくいかないんでしょうね。
🖊編集後記
このあいだ、知り合いに誘われてゴルフに行ったんですが全員左（レフティー）でしたｗ 廣瀬自身も初めてでしたが、周りから見たらめちゃ違和感あったでしょうね。
それではまた次回。
今回の記事はいかがでしたか？
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