リテールメディアを活用するマーケターが考えていること (指標、インクリメンタリティ編 )
米国のマーケターが考えるリテールメディアのインクリメンタリティ(増分性)の考え方について見ていきましょう。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
前回、前々回から数回にわたって P2PI とオムニチャネルマーケティングプラットフォームであるSkaiがリテールメディアについて共同調査した内容1から米国のマーケターがどのようにな広告にどれくらい配分しているのか、リテールメディアがどのように使われているのかについて紹介しています。
三回目の今回はリテールメディアのインクリメンタリティ(増分性)について見ていきましょう。
📣この記事でわかること
米国マーケターがリテールメディアの取り組みで使っている指標とは?
インクリメンタリティ(増分性)の課題
リテールメディアにおけるインクリメンタリティの定義とは?
インクリメンタリティ測定についての課題
それでは本編スタートです。
米国マーケターがリテールメディアの取り組みで使っている指標とは?
メディアコスト (CPM/Average CPC)
広告費用対効果 (ROAS)
クリック率/動画視聴完了率 (CTR/VCR)
獲得単価 (CPA)
「新規ブランド」「評価やレビュー」の指標
カテゴリ or マーケットシェア、競合分析、シェア指標 (SOV, SOShelf/Aisle/Search) も標準的に使用されています。
代理店と CPG ブランドを比べて見ると、代理店の回答者の方がリテールメディアへの取り組みにオーディエンスパフォーマンスデータを使用していると回答する傾向が高いことがわかりました。
インクリメンタリティ(増分性)の課題
インクリメンタリティ(増分性 = そのキャンペーンによって売上、利益がどれだけ増えたのか)の測定に関しては改善の必要があることが指摘されています。
回答者の大多数 (56%) が、企業が基本レベルでインクリメンタリティを測定していると回答しましたが、さらにフォローアップした質問で企業がインクリメンタリティの測定とインサイトの適用または活用が得意/非常に得意であると回答したのは 30% のみでした。
リテールメディアにおけるインクリメンタリティの定義とは?
リテールメディアにおけるインクリメンタリティを企業がどのように定義しているかを尋ねたところ、各企業がさまざまな方法でインクリメンタリティを定義していることがわかりました。 最も一般的な定義では以下の通りです。
新規ブランド顧客の広告によるコンバージョン
これまでに商品を購入したことがない顧客に商品広告を表示する
オーガニック(自然)検索結果でまだ商品が表示されていない場所に広告を配信する
ちなみに New to Brand customer (新規ブランド顧客) とは、過去 1 年以内にそのブランドを購入していない顧客のこと
新規ブランド顧客の指標には以下が含まれます。
New-to-brand Sales(新規ブランド売上) = 新規ブランド注文の売上合計
新規ブランド別売上高比率 = 新規ブランド売上が総売上高に占める割合
調査対象者の職位別回答を見ると、
ディレクタークラス以上のリーダー層は、インクリメンタリティの定義に「自社ブランドをまだ検索していない消費者への広告配信」を含める傾向が強かった。
また、CPGブランドは、代理店と比較して「広告予算を利益率の低い商品から利益率の高い商品へシフトさせる」ことをリテールメディアのインクリメンタリティの一部として捉える傾向が強かった。
インクリメンタリティ測定についての課題
少なくとも半数の回答者が、
インクリメンタル性測定結果の正確性や信頼性に懸念があること
測定をサポートするツールや技術が限られていること
を報告している。また、
標準化やデータの不足 (43%) を指摘している。CPG企業は、インクリメンタル性測定を実施しようとする際、オーガニック・セールスとドリブンセールスの区別が難しいと回答する傾向が強い結果となっています。
〆まとめ
第三弾はここまでです。いかがでしたか?
米国マーケターが使っている、リテールメディアの指標やインクリメンタリティについて触れてきました。リテールメディアの指標はメディアコスト、ROASやCPCなどデジタル広告では標準のものから「新規ブランド」「評価やレビュー」の指標、カテゴリやマーケット別のシェア指標まで多数の指標がありました。そしてリテールメディアでよく議論されるインクリメンタリティについては「iROAS」を軸に語られることが多いです。
リテールメディア文脈でのインクリメンタリティは売上の向上に対して、既存の消費者からの売上向上にプラスして、新規の消費者からの売上獲得の2つが大きな要素となります。特に「新規ブランド顧客」はわかりやすくインクリメンタリティに直結するので、そのためにも計測、最適化、最大化がポイントになります。
インクリメンタリティに限らず、測定、レポートについてはリテールメディア各社がサイロ化、分断化が問題になっており、特に大手のRMNはウォールド・ガーデン化が進み、透明性の欠如も問題視され始めています。
🖊編集後記
普段、Radikoで主にJ-Waveなどを聞き流ししているのですが、昔に比べてラジオを聞く機会が個人的には増えました。昔は車の中とかぐらいだったですが最近は移動中やゴルフの練習中など結構な頻度で聞くことが多いです。そういう意味でAudibleなども気になるのですが、小説など本を聞き流しで聞くことで頭に入ってくるのかなぁとちょっと疑問を持っててやってません。
それではまた次回。
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