MFAとリテールメディア
米国をはじめ、MFA(Made for Advertising)が問題になっています。MFAとはなにか?MFAがなぜ問題になっているのか。リテールメディアとの関係は?探っていきましょう。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
先日、デカーボナイズに関する記事で広告支出の15.3%が無駄な広告配信に費やされている。その最たる原因がMFA(Made for Advertising)であるというレポートを紹介しました。
今回、このMFAについて、そしてリテールメディアとの関係性を考えて見たいと思います。
📣この記事でわかること
MFA(Made for Advertising)とは?
何が問題?
どうやって阻止する?
MFAはリテールメディアにどう関係しますか?
それでは本編スタートです。
MFA(Made for Advertising)とは?
グローバルで問題となっているMFA、そもそもMFAとは何でしょうか?
MFA = Made For Advertising
直訳通り、広告のために作られた(Webサイト/アプリ)を指します。
MFAは、質の高いコンテンツやユーザー体験を犠牲にし、広告利益の最大化のみを目的として運営されているものです。
具体的には各ページに多くの広告を掲載し、訪問者がコンテンツにアクセスするために複数のページをクリックしなければならないようにユーザーの導線を操作することで、ユーザーが目にする広告の数を最大化するように設計されています。
私が日本で単純にイメージするのは、広告枠たっぷりのメディアやブログサイトしかも、コンテンツをオリジナルで制作していない、アグリゲートされたコンテンツを持つWebサイト/アプリです。
日本だと、まとめサイトなど該当するのではないかと思います。
もちろんまとめサイト自体に問題があるというよりは、まとめサイトが上記のMFAの概念に合致しているのではないか?ということです。
MFAはオンラインインプレッションの少なくとも5回に1回を占め、世界のプログラマティック広告費の15%を消費し、正規のパブリッシャーサイトよりも26%多くの炭素廃棄物を排出している1。
このようなレポートをみると非常にセンセーショナルで、オープンインターネット大丈夫なのか?というように聞こえてしまいます。そういった意味ではプラットフォームがしっかり管理している(であろう)大手ソーシャルメディアなどに広告配信を寄せておくことが良いというトレンドがでてきてしまう恐れもあります。
実際、きちんとしたコンテンツを提供しているにもかかわらず、昨今のオープンインターネットのマネタイズの景況感から、広告売上を上げるために広告枠を増やして、ユーザビリティを阻害してしまっているメディアも見受けられます。
私も同じ業界、さらにサプライサイドを支援している企業に属している身としては非常に状況が理解でき、苦肉の策であるというのもわかります。
ただ、このMFAの文脈を踏まえて考えると広告主からMFAと近しいように見られてしまうリスクがあるのではないか?とも思ってしまいます。
何が問題?
一番の問題は、広告主であるブランド、メーカーが知らず知らずのうちにこれらのMFAに予算を投じてしまっていることです。
そして厄介なのは、洗練されたMFAが大量発生しており、それらはシステムやAIを利用して作成され、必要なクリック数を獲得するよう設計されているのです。これらは実質詐欺的なコンテンツの可能性もあります。
そしてこれら精巧なMFAは現状、品質測定ベンダーの網をすり抜けていることです。
低品質のメディアはデジタルメディア草創期から存在し、そのために品質測定ベンダーが現れ、それをすり抜けるMFAが発生しています(←いまココ)。現在のサプライチェーンではMFAサイトのコンテンツが広告主に対して(システム上)安全に見え、価格も安く、MFA広告在庫を買付しやすい状態になっています。
ふたつ目の問題は、MFA上に投資された広告費に伴う広告効果は当然、通常の効果と異なります。インプレッションが増え、クリック率も上昇し数値上効果があるように見えながら、実際消費者がそのサイトやアプリに対してアクションしている可能性は低いわけです。MFAに広告費を投下してしまった場合、そのキャンペーンの実質的な効果が見えづらくなってしまいます。
みっつ目の問題は、業界がサードパーティ Cookie の使用を段階的に廃止するにつれて、これらMFAの数は増加する可能性があります。これは、MFAがクリックを獲得するために時代遅れのコンテキストターゲティング戦略に部分的に依存しており、Cookieレス後のターゲティング広告の戦略のひとつとしてコンテキストターゲティングを活用することが予測できるからです。MFAはそれにマッチしてしまう可能性があります。
どうやって阻止する?
デジタルエコシステムの中でできることは、いくつかあります。
PMPを活用する
PMP経由で広告を買付することで、広告配信面を指定もしくは絞った買付が可能です。SPOを活用する
SPO(Supply Path Optimization)はデジタル広告のミドルマン(仲介事業者)を必要最低限に抑える事が可能です。買付経路を明らかにすることで不透明な経路からの買付を避けることができます。信頼できるパートナーから買付する
とはいっても、広告主、代理店がキャンペーン別にひとつひとつの面を指定して買付することは時に、手間で工数がかかってしまいます。それを避けるためにPMP、PMPパッケージ、SPOの活用が可能な信頼できるアドテクパートナーとのパートナーシップが重要です。
MFAはリテールメディアにどう関係しますか?
リテールメディアは、まず小売業のオウンドメディアへのオンサイト配信が基本となりますのでコンテンツ面での心配はありません。
そしてリテールメディアのオフサイト配信もリテーラーのファーストパーティデータを活用したターゲティングとなるので、MFAサイトへの配信リスクは低くなります。
また、リテールメディアはクローズドループ測定が可能ですので、サードパーティに依存したレポーティングを回避できます。
さらに、上記で触れてきたPMPでの配信、SPOの活用、そして信頼できるパートナーとの取引をすることでリテールメディア経由でのオープンインターネットへの配信を広告主であるメーカー、ブランドにアピールすることができますし、必要があります。
〆まとめ
いかがでしたか?
私は、オープンインターネットの世界に属しています。そして10年以上日本のサプライサイドを見てきています。この10年はインターネット広告の観点でオープンインターネットとウォールドガーデンのせめぎ合い、というよりウォールドガーデンに日本の広告予算の大部分をスポイルされてしまって、日本のコンテンツベンダーであるオープンインターネットのパブリッシャーのマネタイズが立ち行かない状況を歯がゆい気持ちで見ています。
リテールメディアがオープンインターネットのひとつの希望だと勝手に考えています。具体的にはRMNのオフサイト配信です。小売メーカーの宣伝予算が地上波TV, ソーシャルメディアにも費やされていますが、小売事業者のデータを活用しこの予算をCTVや価値あるオープンインターネットのパブリッシャー面に配信することができます。この小売メーカーとCTV,パブリッシャーを繋ぐ一気通貫したソリューションをリテールメディアソリューションとして提供していくことで、オープンインターネットのパブリッシャーに貢献できると考えています。
🖊編集後記
なんか、決意表明的なまとめになってしまってしまいました。
コロナ禍、ゴルフに勤しむようになってお陰で時間の使い方も大きく変わってしまいました(ゴルフのせいだけではないですが)。具体的には4時過ぎに起床、20時前には就寝というライフスタイルです。これが性に合っているのか(ゴルフにはいうまでもなくマッチしていますw)朝起きてLapTopを開けるのですがそのまま米国ではオンタイムなのでコミュニケーションとりやすいですし、週に数日の出社も朝早く帰りも早くでストレスフリーです。おかげでプライベートの時間があまりないのですが、さほど気にならないので結局、起きて、仕事して、寝るという感じの平日と週末のゴルフを楽しむぐらいの感じな毎日です。
それではまた次回。
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