リテールメディアのオフサイト配信は、ブランドの透明性問題を悪化させる可能性があるという話
リテールメディアのオフサイト配信は成長中のカテゴリーだが、バイヤーのコントロールを制限するものだという指摘があります。こちら見ていきたいと思います。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
リテールメディアにはオンサイト配信とオフサイト配信の 2 軸があります。第一義的にはオンサイト配信が、リテールメディアの主戦場ですがオフサイトへのニーズも高まっています。今回はそのオフサイト配信への懸念について触れていきます1。
📣この記事でわかること
オフサイト配信はリテールメディア全体の 18.5% を占めるまでに成長
RMN がオフサイト配信する場合の懸念
懸念をどうやって払拭するのか
それでは本編スタートです。
オフサイト配信はリテールメディア全体の 18.5% を占めるまでに成長
リテールメディアネットワーク (RMN) の急増により、e コマースサイトは広告エコシステムの主になり、ますますメディアエージェンシー化しています。しかし、その移行には独自の課題があります。
リテールメディアがサードウェーブといわれるほどの巨額の広告費を引き付けているのは、メーカーやブランドが購買のタイミングで消費者に対してリーチできることを約束しているからです。リテールメディアが成長するにつれて、広告主は小売業者自身のサイトやアプリ (オウンドメディア) 以外のチャネルでもこの貴重なオーディエンスをターゲットにしようと考えています。
一方で、あるブランドは、プログラマティック購入の透明性の欠如と、比較的未成熟なリテールメディアの標準化の欠如気にしています。
「ほとんどの場合、RMN を営む小売業者がメディアバイイングをコントロールしている」と、リテールメディアに重点を置くCatalyst Media Consultingの創設者Michelle Dooley氏は述べています。ブランドや広告主は、小売業者 (RMN) が適切なメディアを購入するだろうと大いに信頼して買い付けているわけです。
Insider Intelligence の 2023 年 10 月の予測によると、米国のオフサイト RMN インベントリへの広告支出は今年 110 億ドルに増加し、RMN 支出全体の 18.5% を占めると予測されています。
最近、大手リテールメディアプレーヤーは、ターゲットメディア企業と契約を結び、オーディエンスデータをオフサイトで利用できるようにしています。たとえば、Amazon は 2023 年に Meta および Snapchat と提携しました。また、今年初めには、Instacart が Google Shopping との提携を開始しました。過去記事も参照ください。
RMN がオフサイト配信する場合の懸念
小売業者がメーカーやブランドに代わってオフサイトメディアを購入する場合、メディアエージェンシーの専門知識とアクセスが不足している可能性があります。
たとえば、ブランドは小売業者と協力して Spotify や Pandora などのプラットフォームでバンドルされたオーディオを購入することがありますが、これらの購入ではそのブランドが以前使ったエージェンシーが過去に交渉した在庫などは考慮されません。彼らはチャネルの専門家ではないし、プログラマティックオーディオの専門家でもありません。
これはオフサイトすべてに当てはまります。
もう 1 つの問題は測定です。オフサイトメディアの購入では、各 RMN でリーチやフリクエンシーなどの指標が必ずしも保証されているわけではないことです。これは主に、オフサイトインベントリがプログラマティックではなくマネージドサービスを通じて購入されることがあるためです。マネージドサービスになったとたんにブラックボックス化しやすいです。
さらに、リテールメディアのオンサイト資産における特徴的な機能の 1 つであるアトリビューション(クローズドループ測定)は、オーディエンスが他のチャネルでターゲットにされている場合は難しくなるケースもあります。
そのインプレッションが行動を促したのか? というラストクリックアトリビューションを使用できない場合は、定義上、明確ではなくなり、リテールメディアのパフォーマンスに期待するバイヤーは投資判断が難しくなります。
オンサイトインベントリは通常、オフサイトよりもパフォーマンスが優れています。これは、広告主が購入のためにすでにサイトにいる人々にリーチするためであり、サイトに行くように促しているわけではないからです。とはいえ、オフサイトターゲティングはファネルが広がり、ブランドのオーディエンスが類似の買い物客以外にも拡大できます。
プレミアムを正当化するために、リテールメディア企業はエージェンシーのようなマネージドサービスのメディアバイイングを提供するだけではバイヤーのニーズに応えきれていないのかもしれません。最も関連性の高い顧客をターゲットにするためにファーストパーティのオーディエンスデータを使用した場合に、売上につながることを示すことによって、その価値を証明する必要があります。
懸念をどうやって払拭するのか
オフサイトメディア購入のコントロールを強化したいバイヤーは、Deal ID (PMP) を活用できます。リテールメディアパートナーがオーディエンスデータをパッケージ化して Deal ID を作成し、バイヤーにわたすことで、バイヤーがデマンドサイドプラットフォーム (DSP) でその Deal ID 経由で買い付けることでターゲティングすることができます。
一方で、小売業者はオープンエクスチェンジ全体とデータを共有することを依然として警戒しているのでこの手法を積極的に展開している RMN はまだ少数派のようです。 Target の Roundel ネットワークは対応しているようです。
また、テクノロジープラットフォーム、RMN でオフサイトも含めてクローズドループ測定ができるところもあります。オフサイトへの予算配分を増やす方向性にあればそのあたりの機能のチェックも必須でしょう。
現時点では、リテールメディアが持つオンサイト在庫は、依然としてバイヤーの注目と資金の大部分を占めています。オフサイトは、バイヤーが問題の解決に取り組む前に、その価値を証明することでさらにオフサイトへの予算配分が増える可能性があります。
〆まとめ
いかがでしたか?
オフサイト配信はオンサイト配信とは異なる考え方が必要です。オウンドメディアでの収益化ではなく、自社のファーストパーティーデータを活用した外部配信をすることで外部の広告在庫を持つメディアと協業する必要があるからです。
このあたりは、専門知識を持つ人材、チームも必要になるでしょう。また外部へ自社のデータを使って配信することに積極的でない小売業者も日本では多くいそうです。しかし、前述のようにポテンシャルはかなりあり、特にオンサイト在庫の少ない日本の小売業者が実施する RMN はオフサイト配信を活用する必要があると個人的には考えています。
ブランド(ノンエンデミック)や代理店がオフサイトメディアを購入する際の、唯一気にするものは、パフォーマンスが悪かった場合ですよね(あたりまえですが)、とはいえ、面白いのはバイヤーは RMN との関係において、他の従来取引のあるパブリッシャーとの関係よりも RMN に対して力学を発揮できていないことがあります。理由は、(特に) ブランドクライアントは、これらの RMN の在庫を大量に購入することに依存し始めている一方でブランドは小売業者との取引をこれまでしてきた歴史がないため、ブランドバイヤーやエージェンシーは従来のようなパワーのある交渉や、取引ができずにいます。このあたりはリテールメディアの従来とは異なる新しいメディアだという気がします。
🖊編集後記
なんか今年は暖冬といいつつ、春がなかなかこなかったですがいよいよ今週末から一気にあったかくなるようです。最近は桜は卒業式シーズン(3月中旬あたり?)に咲いていたイメージですが、今年は新年度のタイミングになりますね!これはこれで良き。一方で桜もだいぶ待たされたので、開花も日本全国で一気に来そうです。逆に桜を愛でる時間も短くなってしまうかもですね。よいお花見をー👋
それではまた次回。
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