リテールメディアは小売事業者のどの組織が運営すべきか?
リテールメディアは、広告主にとって無視できない急速に成長しているマーケティングメディアです。一方でRMNを運営する小売事業者にとって、営業、マーケティングそれとも専任のチーム、どのチームが主導権を握るべきなのか議論しています。
こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
先日、リテールメディア 101 をお届けし、その後、米国のリテールメディアを活用するマーケターにとってのベストプラクティスについて前編・後編にわたってお届けしました。今回はリテールメディアネットワーク (RMN) を所有する小売業者内での議論について触れていきます。
その議論とは、RMNは企業内のどの組織が主導権をもって運営すべきか問題です。小売業者にはそもそも、メーカーと対面とする営業チームと小売業者の販売、促進をするマーケティングチームがあり、両社ともに別々のバジェット(予算、おサイフが違う)です。ここが小売業者のパラドックスです。極端アチラを立てればコッチが立たない的な話で、日本でもこの構図がリテールメディアを進めるうえでの大きな課題感と考える傾向があります。今回は米国のリテールメディアはどのように考えているのか1触れていきます。
📣この記事でわかること
営業チーム主導のリテールメディア
マーケティングチーム主導のリテールメディア
専任の e コマースチーム主導のリテールメディア
主な検討事項
それでは本編スタートです。
営業チーム主導のリテールメディア
消費者向けパッケージ製品 (CPG) 企業の中には、リテールメディアを営業組織内に置くところもあります。営業チームは小売業者 (メーカー) と関係を日々、維持・管理しているため、これは理にかなっています。彼らはチャネルパートナーとの交渉のウラもオモテも知っています。リテールメディアは、多くの場合、小売業者の専門知識を必要とするトレードプロモーションミックスの一部として見なされがちです。
営業主導のリテールメディアは、メディアキャンペーンと実店舗での実行を緊密に連携させます。営業部門が予算を所有することで、リテールメディアはプロモーション、ディスプレイ、マーチャンダイジング計画を直接サポートします。この統合されたプランニングにより、消費者とのタッチポイントにおける一貫性が確保されます。
ただし、営業チームは目先の売上目標に集中しがちです。データに基づいたオーディエンスターゲティングやクロスチャネル測定に関する専門知識を持っていない場合があります。営業リーダーに ROAS を超えた思考を身につけさせることには難しい課題です。
マーケティングチーム主導のリテールメディア
ブランド企業の多くは、マーケティングチームの下にリテールメディアを置いていることが多いと思います。デジタルおよびメディアバイイングは従来、CMO の管轄下にありました。代理店、アドテクベンダー、リサーチャーなど、多くのマーケティング組織がリテールメディア機能を構築しています。
マーケティング担当者はデータドリブンで、リーチ、シェアオブボイス (SOV)、ブランドリフトの観点から物事を考えます。彼らはチャネルを横断した統合プランを設計し、四半期毎の目標達成だけでなく、売上を段階的に伸ばすことを目指しています。マーケティングドリブンのリテールメディアは、この総合的でオムニチャネルな考え方を適用します。
その反面、マーケターには小売パートナーに関する詳しい知識が不足しています。小売業者の優先事項や店内の実情に合わないキャンペーンを設計してしまう可能性があります。マーケティングは、効果的なリテールメディアプログラムを実行するためには、営業と緊密に連携する必要があります。
専任の e コマースチーム主導のリテールメディア
ブランドによっては、リテールメディアを所有する独立したデジタルチームまたは e コマースチームとのハイブリッドアプローチを採用しているところもあります。こうしたスペシャリストは、営業、マーケティング、小売業者の橋渡し役として機能します。彼らはチャネルの専門知識とアナリティクスファーストのアプローチを融合させています。
e コマースチームは、短期的な販売ノルマに縛られることなく、柔軟に業務を遂行できます。ブランド構築とパフォーマンス目標のバランスをとることができます。また、e コマースのリーダーは社内のエバンジェリストとしても機能し、リテールメディアの価値について組織を教育する役目も果たします。
もちろん、e コマースチームが成功するには、営業チームとの緊密な連携が必要であることに変わりありません。また、リテールメディアのブランド成果に予算を拠出するようマーケティング担当者に影響を与えなければなりません。明確なガバナンスと部門を超えた緊密なコラボレーションがが引き続き重要です。
主な検討事項
リテールメディアの本拠地を組織のどこに据えるかは、ブランドやメーカーの企業構造、文化、目的によって決まります。
営業部門は小売業者との重要な関係を保持していますが、デジタルメディアに関する専門知識が不足している可能性があります
マーケティングはデータと統合の経験をもたらしますが、チャネルの洞察力は持ち合わせていません
e コマース専任はリテールメディアを一元化することができますが、営業/マーケティングの賛同が必要です
万能のモデルはありません。ブランドやメーカーは、リテールメディアの主導権を誰が握るべきかを決定する際に、次の要素を考慮する必要があります。
現在の組織設計 — すでにデジタル / e コマースの強力なリーダーシップがありますか?
文化 — 営業とマーケティングはどの程度サイロ化されていますか? 変化をどの程度受け入れることができるでしょうか?
優先事項 — 短期的な売上目標?、それとも長期的なブランドの成長ですか?
リソース — 新しいチームをサポートするための予算と人材はありますか?
小売業者の微妙な違い、ニュアンス — 特定のチャネルはより重要なパートナーですか?
組織モデルはさまざまですが、コラボレーションが鍵となります。営業、マーケティング、e コマースチームはすべて、リテールメディア戦略において重要な役割を果たしています。この分野が成熟するにつれて、統合的なアプローチをとるブランドが優位に立つでしょう。
〆まとめ
いかがでしたか?
どの部署がリテールメディアを主導するかは、上記であるように小売業者の考え方、組織、文化など比較的大きな枠組みで検討しなくてはならない話です。営業、マーケ、EC (or 独立したチーム) と3つのパターンを上げましたが、それだけではないかもしれません。いずれの組織に属する形にしても一長一短がでてきます。個人的には組織を横断した判断ができる、TOP Downの形をとるぐらいでないと日本のマーケットの場合はなかなかデシジョンできない気がしていますが、大きな企業になればなるほどその判断が難しそうな気も。主導する組織以前に、「人」が 1 番のキーポイントですかね。
🖊編集後記
先日、会話の流れで人によって恥ずかしさと気を使うことの基準が全然違うよね、という話になり思わず盛り上げりました。例えばトイレで音を立てることに対して、音を立てること自体が他人にとって不快、もしくは自分が恥ずかしいと感じる人と全くそんなこと来にもしない人って明らかにいるよね的な。みなさんはどうですか?廣瀬は前者でしたね。子供時代はそれを気にしすぎて、したいときにできないみたいな苦労というか、なんかそんな子供でした(苦笑)。
それではまた次回。
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