こんにちは✋廣瀬です。日々順調ですか?
そういえばAmazonのCEOがジェフ・ベゾス氏から交代してたんだー。と思うのは一瞬で新CEOのアンディー・ジャーシー氏が2025年 1月9日のCESでBig Newsを発表しました。
それは、Amazon Retail Ad Serviceをローンチする=Amazonの自社テクノロジーを他社に開放するというものでした。
具体的にどんなことになるのでしょう?
📣この記事でわかること
「Amazon Retail Ad Service」とは
Amazon の発表内容
具体的なインパクト
日本市場の影響は?
それでは本編スタートです。
「Amazon Retail Ad Service」とは?
Amazon が、小売業者が自社のウェブサイト、アプリ上で広告を表示できる新サービスを発表しました。
簡単にいえば、Amazon のオンサイト広告ソリューション(検索結果、商品詳細ページなど)を導入することが可能になります。このサービスにより、小売企業は自社サイトやアプリの検索結果や商品ページなどに、Amazonの既存の広告主による広告を掲載することが可能となります。
Amazonの発表内容
広告の柔軟な配置とカスタマイズ: 小売業者は、自社のウェブサイトやアプリ内で広告のデザイン、配置、表示数を自由に設定できます
高度なターゲティング: Amazonの機械学習モデルを活用し、ユーザーの検索クエリや閲覧履歴などのコンテキスト情報に基づいて、関連性の高い広告を適切なタイミングで配信します
データ管理とプライバシー保護: 小売業者はAWSアカウントを通じてデータを管理し、Amazon Adsや他のAmazonビジネスから分離された専用システム上で運営されます
具体的なインパクト
小売業者にとっては、
収益機会の拡大: 小売業者は、自社サイト、アプリ上にコストをさほどかけずに広告掲載することが可能になり、新たな収益源を確保できます
顧客体験の向上: 関連性の高い広告表示により、ユーザーのショッピング体験が向上する可能性があり、さらに新たな回遊動線ができサイトやアプリの回遊性が高まるでしょう
日本市場への影響は?
現時点では、Amazon Retail Ad Serviceはアメリカのマルチブランド小売業者のみが対象となっています。iHerbやWeee!、Oriental Tradingなどですね。日本は2025年は少なくともスコープには入っていないようですが、将来的に日本市場にも展開される可能性があり、日本の小売業者は新たな広告収益モデルとして注目する価値があります。
ポジティブな影響
新たな収益源: 従来型(物販のみをしていた)小売業者は、広告掲載による追加収益を得られる機会を得ます
広告主の拡大: Amazonの広告主は、より多くの(Amazon以外の)プラットフォームで広告を配信でき、リーチを拡大することが可能になります
懸念
データ依存のリスク: このサービスはAWSの利用が前提になっています。小売業者が Amazon のサービスに依存することで、データの主導権を失うリスクがあります
そもそも小売業社として、競合のAmazonに自社データを渡す企業がどれぐらいいるのか?(そもそも Amazon 自体はマーケットプレイスであり、本来は小売業ではないのですが)
EC業界にもたらす影響は甚大で、独占取引法、公正な取引の観点でGoogle 社の広告エコシステムの囲い込みを彷彿とさせます。現在Google社がこの観点で係争状態にありますが、このあたりはAmaon 社に対してもこのような懸念は既に感じるところです。
Amazonの新サービスは、既存のアドテク企業や広告プラットフォームにとって強力な競合となり得ます。特に、Amazonの膨大なデータ、テクノロジー、機械学習を活用したターゲティング能力は、他社との大きな差別化要因です。この洗練された広告プラットフォームを是非活用したいと思っている小売業者は多数存在するでしょう。
日本に目をやっても、サイズ的にほとんどが中小ボリューム(ユーザー数、データボリューム)である日本の小売業者は、自社でこのような広告システムを開発する体力があるところは限られており、またテクノロジーベンダーとの協業を図るにも、対面で対応できる社内リソースが限られているケースがほとんどです。もしAmazonがAWSの延長線上で導入が比較的容易にできるようなモジュールなどを提供した場合(というかできるようになるんでしょうが)、一気にマーケットを支配する可能性は否めません。
全体として、Amazonの「Amazon Retail Ad Service」は、小売業者と広告主の双方に新たな機会を提供する一方で、競合他社にとっては市場環境の変化をもたらす可能性があります。
今回はここまでです。
〆まとめ
今回のAmazonの発表は業界(特にアドテクベンダー)に大きなインパクトをもたらすことは確実で、アドテク畑の私からみても、Amazon という世界一の EC プラットフォームが、自社で展開していた広告テクノロジーを小売業者のオウンドメディアにも導入できるという字面だけでも期待が湧いてきてしまいます。特にオンサイト広告のソリューションベンダーは大きな影響を被りそうです。オンサイト広告はリテールメディア広告の70-80%を未だに占めており、特に検索連動型のスポンサードプロダクトリスティングはその中でもさらに、70-80%のボリュームを占めています。
日本では外資ベンダーが直面する問題として、2バイト文字である日本語及びそのゆらぎに対して適切な広告を表示することが一つの課題になります。Amazonは長年の蓄積された知見によりこの部分に対しての不安がないのも大きな強みです。
それにしてもAmazonはこのプロダクトでどこまで取りに行くつもりなんでしょうね。大きい EC ? 中小ロングテール? プラットフォームは多分共通なので全部なんでしょうねw
米国では、テクノロジーがない会社に対して Insta Cart などがデジタルカートや店内管理システム、データを活用した広告の配信プラットフォームを提供しています。
Amaozon の今回のプロダクトは広告に特化しています。Amazon は世界中の EC に対して広告収益の機会を付与する形になるわけですが、大きくマネタイズができるかできないかは複数要因に左右されると思います(スポンサードプロダクトがメインだとすれば、検索 UX が優れていて検索フレンドリーな EC はフィットするでしょうが、カテゴリから芋づる式にたどり着くディレクトリ方式だとフィットしないとか。
やはり気になるのはデータですかね。いまどきデータを収集するのはグローバルベンダーのおてのものなので(もちろんプライバシーは尊重した上で)、広告収益機会を与える代わりに、データなのかな。もう少しアップデートほしいですね。
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🖊編集後記
SNS等でもお知らせしておりますが、いままで外資系のアドテクベンダーで約 10 年、広告収益化によってメディアを収益化する日本の事業者の方々のお手伝いをさせて頂いてきましたが、2025 年 1 月より事業会社へキャリアチェンジしました。詳細は別途どこかで、もしくはいずれ業務に関わる知識や知見などをこちらでもアップデートしていくようになると思いますが、リテールメディアの領域を更に押し拡げたコマースメディアを事業者視点で切り開いて行きたいと思い決めました。
広告領域(に限らずですが)は外資、特に米国のプラットフォームに牛耳られており、日本のデジタル広告費の大部分をスポイルされ続けています。大上段に構えていうと日本発のグローバルコマースメディアプラットフォームを立ち上げていきます。それを実現できるアセットとスケールがいまの会社にはあります。ここで成功できなければどこもコマースメディアは成功できないという危機感を常に持ち、業務に携わって行きたいと思います。
当然ながら、本メディアで発するコンテンツやコメントは所属している企業としての発言等ではありませんので、月並みな話ではございますが重要なので念の為。
それではまた次回。
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